※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。掲載している制度の内容は2026年9月1日時点の一次情報にもとづきます。
「ふるさと納税、2026年10月から改悪されるらしい」。そんな見出しをSNSやまとめ記事で見かけて、9月のうちに寄付しておくべきか気になっている方は多いと思います。
ただ、総務省が実際に出している資料を読むと、変わるのは「自治体側のルール」で、寄付する側の税金の仕組みは今回いっさい変わりません。
ネットでよく見る「経費が5割から4割になる」という数字も、2026年10月の話としては正確ではありませんでした。
この記事では、総務省の告示・通知・Q&Aといった原典だけを使って、何が変わり、9月中に動くべき人は誰なのかを年収500万円台・4人家族の目線で整理します。
2026年10月の改正で見直されたのは、自治体が制度の対象になるための「指定基準」です。
実質2,000円の仕組みも、控除の上限も、ワンストップ特例も変わりません(同じ令和8年度税制改正で特例控除額に193万円の上限が新設され、2027年の寄付分から適用されます。対象は給与収入1億円相当です)。
- 寄付1万円あたり、自治体が手元に残す下限が5,000円 → 5,250円へ(+250円)
- ネットで見る「経費4割」は2029年10月から。2026年10月時点は47.5%
- 9月中に動くと得なのは欲しい品が決まっている人と、毎年同じ品をリピートしている人
- 2026年10月にふるさと納税の何が変わるのか(総務省の改正5項目)
- 「実質2,000円」や控除の上限に影響はあるのか
- ネットで広まっている「経費5割→4割」はどこが違うのか
- 総務省が2026年8月20日に出した通知が、駆け込みをどう見ているか
- 同じ返礼品の必要寄附金額が上がる可能性はあるのか
- 9月のうちにやっておくと損をしない3つのこと
2026年10月にふるさと納税は何が変わる?
総務省は2026年10月の見直しについて、2025年6月24日の報道資料「ふるさと納税の指定基準の見直し等」で告示の改正を公表しています。
資料には「本改正は、令和8年10月から開始する指定対象期間に係る指定から適用となります」と書かれています。
この「指定対象期間」は毎年10月1日から翌年9月30日までで、総務省のQ&Aにも「n年10月1日からn+1年9月30日までの指定対象期間」という言い回しで出てきます。
あわせて公表された概要資料には、見直しが5項目まとめられています(①と④の詳細は、後掲の総税市第71号に記載があります)。
- ① 広報目的基準の明確化:市町村名が入っているだけの区域外製品を「広報目的」として認めない。自治体自身が直近1年に広報目的で調達・配布・販売した実績などを条件にする
- ② 付加価値基準の算出方法の明確化:加工品は「価値の過半が区域内で生じたこと」を製造者が証明し、自治体が提供開始日までに一覧で公表する
- ③ 返礼品等の調達費用の妥当性確保:一般販売価格も証明書に書いて公表する。合理的な理由なく一般販売価格より高く調達しない
- ④ 募集費用の透明性の向上:1支払先あたり100万円以上の募集費用は、支払先・支払額・支払目的を公表する
- ⑤ 返礼品確認事務の効率化:前年に基準不適合がなかった自治体は書類の一部を省略。総務省は抽出調査と通報窓口で確認する
正直、最初は「また使いにくくなるのか」と身構えました。中身を読んだら自分に関係する話がほとんど無くて、拍子抜けしたというのが本音です。
「実質2,000円」の仕組みは変わる?控除の上限はどうなる?

結論から書くと、控除の計算式も、実質負担2,000円の考え方も、今回の改正には入っていません。総務省の「税金の控除について」にある計算式は、いまも次のとおりです。
- 所得税からの控除 =(ふるさと納税額 − 2,000円)×「所得税の税率」
- 住民税からの控除(基本分)=(ふるさと納税額 − 2,000円)× 10%
- 住民税からの控除(特例分)=(ふるさと納税額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率)
あわせて総務省は、控除の対象になる寄付額そのものにも上限を置いています。所得税分は総所得金額等の40%、住民税の基本分は30%までです。
さらに特例分にも上限があり、住民税所得割額の2割を超えると3つを合計しても全額は控除されません。このとき実質負担は2,000円を超えます。
つまり、自分の上限を超えて寄付したときだけ「実質2,000円」が崩れるという構造は、10月以降もまったく同じです。上限を決めているのは自分の住民税所得割額であって、自治体の経費ルールではありません。
ワンストップ特例も変わりません。確定申告が不要な給与所得者で寄付先が5団体以内なら、申請書を出すことで確定申告なしに全額が翌年度の住民税から控除されます。
住所変更などで申請内容に変更があった場合は、寄付した翌年の1月10日までに変更届出書を出す点も従来どおりです。
返礼品の中身をどう選ぶかは、ふるさと納税で食費を年10万円圧縮する返礼品選びで費目から逆算する方法をまとめています。
「経費が5割から4割に下がる」は本当?数字を確かめました
制度改正の解説記事でいちばん多く見かけたのが、「募集経費の上限が寄付額の5割から段階的に4割へ圧縮される」という説明でした。ところが、6月24日の告示改正にも、そのQ&Aにも「4割」という数字は出てきません。
実際に上限を動かしているのは、2026年度の税制改正で新しく作られた寄附金活用基準のほうです。総務省の「ふるさと納税に係る指定制度の運用について」(2026年6月26日・総税市第71号)に、こう書かれています。
経過措置の表を裏返すと、募集費用の上限は次のように動きます。4割になるのは2029年10月からで、2026年10月時点は47.5%です。
| 指定対象期間 | 自治体に残す割合(下限) | 寄付1万円あたり残る額 |
|---|---|---|
| 2026年10月〜2027年9月 | 52.5% | 5,250円 |
| 2027年10月〜2028年9月 | 55% | 5,500円 |
| 2028年10月〜2029年9月 | 57.5% | 5,750円 |
| 2029年10月〜(本則) | 60% | 6,000円 |
| ネットで見る数字 | 経費は5割 → 4割へ |
| 2026年10月からの基準(活用可能額52.5%以上) | 経費の上限は47.5% |
| 寄付1万円あたりの差(5,000円 − 4,750円) | 250円 |
→ 2026年10月に動くのは 1万円あたり250円 です。
年6万円を寄付する家庭なら、自治体側に多く回るのは年1,500円ぶん。税金の計算が変わらないという意味では、寄付する側の負担は増えません。
この「募集に要する費用」には、返礼品の調達費だけでなく、送料・広報費・決済手数料・職員の人件費・寄付金受領証の発行事務・ワンストップ特例の受付事務、そしてポータルサイト運営事業者へ支払う費用まで、すべて含まれます。
| 寄付1万円の内訳 | 2026年9月まで | 2026年10月から |
|---|---|---|
| 返礼品の調達費用(上限3割) | 3,000円まで | 3,000円まで |
| 募集費用の合計(返礼品・送料・広報・決済・事務) | 5,000円まで | 4,750円まで |
| 自治体が住民サービスに使えるお金 | 5,000円以上 | 5,250円以上 |
ただ、ここは正直に書いておきます。自治体に残す割合が上がる一方で、返礼品の調達費の上限は3割のまま据え置きです。しわ寄せは送料・決済・事務・ポータル手数料の枠に来ます。
いま経費が上限いっぱいの自治体が、同じ品・同じ経費のまま続けようとすると、これまで1万円だった品に、約1万530円必要になる計算です(5,000円 ÷ 47.5% = 1万526円)。上がり幅にすると、およそ5%です。
総務省がポータル運営事業者に手数料の引下げを求めているのは、ここを吸収させるためです。
税金の仕組みは変わらないけれど、同じ枠で買えるモノは少し減るかもしれない。これが正確なところです。
総務省がポータルサイトに手数料の引下げを求めていた
同じ通知には、この改正の狙いがはっきり書かれています。令和6年度のポータルサイトの実質的な手数料は1,379億円、手数料率にして11.5%。
総務省は2026年5月22日に、大手ポータル運営事業者が参加する一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に対して、手数料の引下げに取り組むよう要請したと明記しています。
狙われているのは寄付者ではなく、寄付金の途中で抜ける手数料のほうだということです。
「改悪」と聞いて税金が増える話だと思い込んでいましたが、狙われていたのは手数料のほうでした。とはいえ返礼品の値札には返ってきそうなので、そこだけは見ておきます。
9月中に駆け込むべき?総務省が8月20日に出した通知

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。総務省は2026年8月20日、「ふるさと納税制度における募集適正基準の遵守の徹底について」(総税市第96号)という通知を全国の自治体に出しました。
通知は、一部のポータルサイトで使われている次のような表現を、「適切な寄附先の選択を阻害するような表現」にあたる募集適正基準に違反するおそれが高いとしています。
- 「コスパ」「特別寄附額」「特別規格」「家計応援」「物価高応援」など、通常よりも必要寄附金額が割安であると寄付者に認識させる表現
- 将来的な必要寄附金額の引上げを予告して募集を行うこと
外部事業者がポータル上でこうした表現をした場合でも、指定取消の対象になるのは自治体のほうだと明記されています。
つまり、「10月から値上がりするから今のうちに」とポータルの募集ページに書くこと自体が、いま行政に見張られている表現です。ただし見張られているのは予告して煽ることであって、値上がりが起きないという意味ではありません。
9月のあいだ急かす文言が並ぶかもしれませんが、そこで増やすべきなのは寄付額ではなく、狙いを定めた1品の確保のほうです。
とはいえ、返礼品のラインナップは実際に変わる
制度の中身は寄付者に影響しない一方で、返礼品の顔ぶれは動きます。地場産品基準が厳しくなるため、区域外で作られた加工品などが基準を満たせなくなる可能性があるからです。
ポータルサイトのふるさとチョイスも、2026年10月の制度変更に関する告知ページで「2026年9月30日までに以下に記載の内容をご確認ください」と呼びかけ、「9月中に受付を終了する品が出てくることも予想されます」と書いています。
| 9月中に「寄付」まで済ませたい人 | 寄付は年内でいい人 |
|---|---|
| お気に入りやカートに入れている返礼品が決まっている | まだ何をもらうか決めていない |
| 区域外で製造された加工品や、自治体ロゴ入りの日用品を狙っている | 地元産の米・肉・魚など、産地がはっきりした一次産品が中心 |
| 去年と同じ品をリピートするつもりでいる | 返礼品より先に、まず今年の枠を知りたい |
9月のうちにやっておく3つのこと
制度に振り回されずに済むよう、9月中に手を動かしておくと効くことを3つに絞りました。
① 自分の上限額を先に確かめる
上限を決めるのは年収そのものではなく、住民税の所得割額です。6月ごろに勤務先で配られた住民税決定通知書を見れば、自分の所得割額が載っています。
共働きなら夫と妻それぞれに枠があり、名義を分けると世帯の合計枠が増える点も見落としがちです。ただし寄付の申込名義と支払い名義を、控除を受ける本人にそろえる必要があります。
ざっくり把握したいだけなら、各ポータルのシミュレーションを使うのがいちばん早いです。
② 目当ての返礼品が10月以降も残るか確認する
お気に入りやカートに入れっぱなしの品があるなら、9月のうちに自治体ページを開いて受付状況を見ておきます。ここで欲しい品が決まっているなら9月中、決まっていないなら年内で十分、と切り分けられます。
③ ワンストップ特例の条件を数え直す
寄付先が6団体以上になると、ワンストップ特例が使えず確定申告が必要になります。「9月に慌てて数自治体を足したら6団体を超えていた」という取りこぼしが、いちばんもったいないパターンです。
やめる節約で月4万円を捻出した話でも書いたとおり、手間が増える選択は結局続きません。
自分の上限を確かめるところから始めるなら、シミュレーションのあるポータルが手早いです。
※上限額はあくまで目安です。正確な金額はお住まいの市区町村にご確認ください。
わが家も「10月までに」と言われた瞬間は焦りましたが、結局やったのは上限の確認だけでした。急いで決めた寄付より、枠を正しく使い切るほうがずっと効きます。
まとめ|変わるのは返礼品、変わらないのは税金
- 2026年10月の改正は自治体の指定基準の見直し。控除の計算式・実質2,000円・ワンストップ特例は変わらない
- ネットで見る「経費5割→4割」は不正確。2026年10月は47.5%で、4割になるのは2029年10月から
- 寄付1万円あたり自治体に残す下限が5,000円→5,250円に。税金の計算は変わらないが、同じ品の必要寄附金額は上がりうる
- 総務省は2026年8月20日の通知で、値上げを予告して募集する表現を募集適正基準違反のおそれがあるとした
- 9月中に動くと得なのは欲しい品が決まっている人とリピート組。決まっていないなら12月31日まで枠は使える
毎年12月に慌てて駆け込むクセがあったので、今年は9月のうちに上限だけ出しておこうと思います。
執筆:papakakei.com 編集部/基準日:2026年9月1日。本記事は制度の内容を整理したもので、個別の寄付判断や税務判断を推奨するものではありません。控除額の詳細はお住まいの市区町村または税務署にご確認ください。
