NISA口座で株を買えば、値上がり益も配当金も自動的に非課税になる。私はずっとそう思っていました。
ところが配当金だけは違います。証券会社に登録している「配当金の受取方法」が株式数比例配分方式になっていないと、NISA口座で買った株の配当でも20.315%が引かれます。
- NISAの配当を非課税で受け取れるのは、受取方法が株式数比例配分方式のときだけ(金融庁)
- 設定が違うと、年3.5万円の配当から約7,110円、年8.4万円なら約17,065円が引かれる(税率20.315%)
- 何も選んでいない人に自動で適用されるのは配当金領収証方式=課税されるほう
- 期限は配当基準日まで。過ぎた回の配当は、あとから非課税に戻せない
- 4つある受取方法のうち、どれならNISAの配当が非課税になるか
- 設定を間違えていると1年でいくら引かれるか(配当額別の早見表)
- 自分の設定を確認する場所と、変更が間に合う期限
- 株式数比例配分方式を選べないケースと、投資信託だけの人が慌てなくていい理由
NISA口座に入れた時点で非課税は完成している、と思い込んでいました。受け取り方の設定が別にあるとは考えたこともなかったです。
NISA口座なのに、配当金から税金が引かれるのはなぜ?
上場株式の配当金は、どこで受け取るかを株主自身が選ぶ仕組みになっています。証券保管振替機構(通称ほふり)の案内によると、選べるのは次の4つです。
| 受取方法 | どこで受け取るか | NISA株の配当は |
|---|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 証券会社の口座 | 非課税になる |
| 登録配当金受領口座方式 | 指定した1つの銀行口座 | 非課税にならない |
| 個別銘柄指定方式(単純取次ぎ方式) | 銘柄ごとに指定した銀行口座 | 非課税にならない |
| 配当金領収証方式 | ゆうちょ銀行などの窓口 | 非課税にならない |
このうち証券会社の口座で受け取るのは株式数比例配分方式だけ。残りの3つは、銀行口座やゆうちょ銀行の窓口で受け取ります。
NISAの非課税は、NISA口座の中で完結して初めて効きます。配当金が証券会社の外に出てしまうと、NISAで買った株の配当であっても非課税の対象から外れるというわけです。
金融庁の資料も、株式数比例配分方式以外の3つについて「NISA口座で購入した株式であっても配当金は非課税にならない」とはっきり書いています。
ほふりの案内には、配当金の受取方法を選択していない場合には、配当金領収証方式が適用されますと書かれています。つまり初期状態は非課税にならないほう。自分で株式数比例配分方式を申し込んだ記憶がなければ、いま課税されている可能性があります。
設定を間違えていると、税金は年いくら引かれる?

上場株式の配当には20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%+住民税5%)がかかります。非課税になるはずだった配当が課税されると、この20.315%がそのまま引かれます。
たとえば配当利回り3.5%の株を100万円分持っていたとします。受け取る配当は年3.5万円。設定が違っていると約7,110円が引かれます。
成長投資枠の240万円をまるごと同じ利回りで埋めた場合なら、配当は年8.4万円で、引かれるのは約17,065円。持っている額によって桁が変わるので、下の表で自分に近い行を見てください。
| 1年で受け取る配当 | 引かれる税金(20.315%) | 10年でいくら |
|---|---|---|
| 3万円 | 約6,094円 | 約6万円 |
| 3.5万円(100万円×3.5%) | 約7,110円 | 約7万円 |
| 6万円 | 約12,189円 | 約12万円 |
| 8.4万円(240万円×3.5%) | 約17,065円 | 約17万円 |
| 12万円 | 約24,378円 | 約24万円 |
| 24万円 | 約48,756円 | 約49万円 |
1年で数千円なら、まあいいかと思うかもしれません。ただこの設定は、直さない限り毎年そのまま続きます。しかも配当金は「引かれたあとの金額」が振り込まれるので、明細を1円単位で見比べないと引かれていること自体に気づけません。10年で7万円、持ち株が増えればもっと。手続き1回で止まる金額としては安くありません。
毎月の積立額を1,000円増やすのは真剣に悩むのに、設定ひとつで年7,000円や1万7,000円が消えているかもしれないほうは、そもそも見ていませんでした。
自分の受取方法はどこで確認する?

確認そのものは3分もかかりません。証券会社にログインして、設定の表示を見るだけです。
ここが一番誤解されやすいところです。ほふりの案内は、取引のある証券会社等が複数ある場合には、1社に対して株式数比例配分方式の申込みをすれば、他の証券会社等で保有している銘柄も含め、すべての銘柄について同方式が適用される(他の方式との併用はできない)としています。
- 証券会社を2社使っていても、申し込むのは1社でよい
- 逆に、片方の会社だけ別の方式にすることはできない
- 同じ銘柄で異なる受取方法を指定することもできない
- 名義が違えば別。夫婦それぞれの口座は、それぞれで確認が必要
- NISAで個別株・ETF・REITを持っている
- 口座を開いてから受取方法を一度も触っていない
- 配当金領収証というハガキが郵送で届いたことがある
- 配当金が銀行口座に振り込まれている
- 家族の口座を代わりに開設した(本人名義ごとに設定が必要)
銀行口座に配当が入ってくるのを見て、便利だなくらいに思っていました。あれは非課税になっていないサインだったんですね。
手続きはいつまでに終わらせればいい?
ほふりのQ&Aによると、株式数比例配分方式で配当金を受け取りたい場合は、該当の銘柄の配当基準日までに、申込みの内容が証券会社等を通じてほふりに取り次がれている必要があるとされています。
そして同じQ&Aに、申込手続に要する日数は証券会社等によって異なるとも書かれています。基準日の当日に画面から申し込んでも、その回の配当には間に合わないことがあるということです。
日本株は3月末と9月末を基準日にする会社が多いところです。9月末が基準日の銘柄なら、9月30日までに取次ぎが終わっている必要があるという計算になります。事務にかかる日数は会社ごとに違うので、基準日の2週間前までに申し込んでおくと安全です。
間に合うかどうか微妙なタイミングになったら、証券会社のコールセンターに「いま申し込んで今回の基準日に間に合いますか」と直接聞くのが確実です。
受取方法が違ったまま支払われた配当について、あとから「NISA分なので非課税にしてください」と申告して取り戻す制度は用意されていません。間に合わなかった回は、課税されたまま確定します。だからこの設定は、気づいたときに直すのではなく、配当をもらう前に直す必要があります。
積立の金額を見直すより先に、こちらを片づけてしまうほうが早いです。
株式数比例配分方式にできない場合と、投資信託はどうなる?
申し込んでも使えないケースがひとつあります。信託銀行などに特別口座を持っている場合です。
特別口座とは、株券が電子化される前に紙の株券を持っていた人などのために、発行会社が株主の権利を守る目的で信託銀行などに開設した口座のこと。親や祖父母から引き継いだ株がある人は、心当たりがあるかもしれません。
ほふりの説明では、特別口座を開設する信託銀行は株式数比例配分方式に必要な契約を株主と交わさないため、この方式を扱えません。1つでも扱えない口座があると全体で使えなくなるので、先に特別口座を閉じる(証券口座への振替や単元未満株の買取請求)手続きが必要になります。
もうひとつ、よく混同されるのが投資信託です。
| 持っている商品 | この設定の話が関係するか |
|---|---|
| 国内の上場株式(個別株) | 関係する |
| ETF・REIT | 関係する |
| インデックスファンドなどの投資信託 | 関係しない |
ほふりの案内は「振替株式等の配当金(ETF、REIT等の分配金を含みます)」を対象としたもので、金融庁の資料も「上記は国内株式の配当金の例だが、ETF、REITの分配金についても同様」と注記しています。つみたて投資枠で一般的なインデックスファンドを積み立てているだけなら、この4択の対象ではありません。
どの商品を持っているか自体があいまいなら、まずはインデックスファンドの選び方の記事で、自分が積み立てているものの正体を確かめるところからでも遅くありません。
投資信託だけなら関係ない、で終わらせるところでした。ETFや個別株を1銘柄でも買えばその時点から効いてくる話なので、買う前に設定だけ見ておくほうが結局ラクだと思います。
まとめ:NISAの非課税は、買った時点では完成していない
- NISAの配当を非課税で受け取れるのは、受取方法が株式数比例配分方式のときだけ
- 何も選んでいないと配当金領収証方式が自動適用=初期状態は課税されるほう
- 設定違いのまま年3.5万円の配当を受け取ると約7,110円、10年で約7万円。年8.4万円なら10年で約17万円
- 申し込みは1社にすればすべての証券会社・全銘柄に適用される(併用不可)。ただし名義ごとなので夫婦は別
- 期限は配当基準日まで。事務日数があるので基準日の2週間前までに動く
- 対象は上場株式・ETF・REIT。投資信託だけの人は関係ない
NISAは口座を開いて商品を買えば終わり、という制度に見えます。でも配当については、受け取り方をこちらが選んで初めて非課税が完成します。増やす工夫の前に、取りこぼしを止めるほうが確実で、しかも一度やれば終わりです。
この記事をここまで読んだ流れで、口座の設定画面を開いてしまうのがいちばん早いと思います。
執筆:papakakei.com 編集部
