2026年は、家計に効く制度が一度に動く年になりました。高校の授業料、電気とガスの料金支援、社会保険の加入ライン、そして毎月の給与から引かれる子ども・子育て支援金。ニュースで見るたびに「うちは何かしなくていいのかな」と気になります。
ただ、全部を一度に見直そうとすると、たいてい何も終わりません。この記事ではどれから手を付けるかだけに絞って、2026年の変更点を並べ替えます。
🎯 この記事の結論
2026年に増える家計の負担は、4人家族で年8.9万円。国の物価高対策で戻るのは2.5万円で、残りの6.4万円=月およそ5,300円は自分で埋めることになります(第一生命経済研究所・2026年1月時点の試算)。
ただしこれは1月時点の見通しです。電気・ガスの支援は、結果的に7〜9月使用分の3か月だけになりました。なので、戻ってくる額は1月の見通しより小さくなりそうです。
そして手を付ける順番は、金額の大きさではなく「締切があるかどうか」で決めます。固定費の見直しは後回しでかまいません。
📌 この記事でわかること
- 2026年に増える負担と、対策で戻る額の差し引き(4人家族の実数)
- 「まず固定費から」で始めると損をする理由
- 放っておくと消えるもの/放っておいてもいいものの見分け方
- 106万円の壁の撤廃が、自分に関係あるかどうかの確かめ方
- 今月のうちに5分で終わる3つのこと
正直に言うと、私は去年これで失敗しました。変更点をぜんぶメモしたところで満足して、結局どれも手を付けないまま年が終わったんです。
2026年の家計負担は結局いくら増える?
まず全体像から。第一生命経済研究所の永濱利廣氏が2026年1月5日に公表した試算では、2026年の家計負担は次のようになっています。
| 項目 | 4人家族・年間 |
|---|
| 物価上昇による負担増 | +8.9万円 |
| 国の物価高対策による軽減 | −2.5万円 |
| 差し引き | +6.4万円(月およそ5,300円) |
ここで安心しかけるのですが、もうひとつ数字があります。同じ研究所の試算で、2025年の負担増は4人家族で15.3万円でした。2026年の8.9万円は、それより小さい。上がり幅は落ち着いてきています。
ただ、負担は元に戻るのではなく積み上がります。去年15.3万円ぶん高くなった生活費の上に、今年さらに8.9万円(対策で戻る分を引けば6.4万円)が乗ります。差し引きで見ても2年で20万円を超え、月にすると1万8,000円ほどです。「今年は落ち着いた」という報道と、財布の感覚が合わないのはこのためだと思います。
この試算での物価高対策の中身は、ガソリン・軽油の暫定税率廃止/電気・ガスの負担軽減策/高校授業料と給食の無償化の3つです。
つまり2.5万円戻ってくるというのは、この3つが効いた場合の話で、放っておいて全部が自動で効くわけではありません。ここがこの記事の出発点です。
家計の見直しはどこから手を付ける?順番の決め方
家計の見直しといえば「まず固定費から」が定番です。一度やれば効果がずっと続くから、というのが理由で、これ自体は正しいと思います。
ただ、2026年のように制度がまとめて動く年は、この順番だと取りこぼします。固定費の見直しは、来月やっても再来月やっても、同じだけ効きます。効果が減らない。一方で、締切のあるものは、過ぎた瞬間に価値がゼロになります。
✅ 順番を決める2つの質問
- ①それは、自分で動かないと効かないもの?(申請が要るか)
- ②それには、締切がある?(過ぎたら終わるか)
この2つに答えるだけで、順番はほぼ自動的に決まります。両方に「はい」がつくものが、いちばん先です。
言い換えると、金額の大きい順に並べないということです。
月5,000円の通信費より、1回だけの2万円の給付のほうが金額は小さい。それでも締切があるほうを先にやります。通信費は逃げないからです。
私はずっと逆をやっていました。金額が大きいものから手を付けるのが合理的だと思っていて、そのあいだに締切のあるほうが静かに終わっていた、という感じです。
【第1優先】申請しないともらえないお金はどれ?
2026年の変更点を、さっきの2つの質問で仕分けるとこうなります。
| 2026年に動くもの | 時期 | 自分で動く必要 |
|---|
| 高校授業料の支援(所得制限の撤廃) | 4月から | 申請が必要 |
| 物価高対応子育て応援手当(2万円) | 受付は終了 | もう動けない |
| 子ども・子育て支援金の徴収 | 4月から | 不要(天引き) |
| 電気・ガス料金の支援 | 7〜9月使用分 | 不要(自動で終わる) |
| 106万円の壁(賃金要件) | 10月に撤廃予定 | 勤め先の規模による |
いちばん上の高校授業料の支援が、2026年で最も「動かないと損をする」項目です。所得制限の撤廃は2026年3月31日に法律が成立し、4月1日から施行されています。
⚠️ 所得制限が撤廃されても、自動では来ません
文部科学省のページには「高等学校等就学支援金など授業料支援を受けるためには申請手続きが必要です」とはっきり書かれています。
所得制限が無くなったことと、黙っていてももらえることは、別の話です。対象が広がった年ほど、申請を忘れた人が損をします。
そして表の2行目が、この記事でいちばん書きたかった行です。物価高対応子育て応援手当は、子ども1人あたり2万円が1回だけ支給される給付でした。多くの自治体で申請の受付は2026年6月末に締め切られ、こども家庭庁のコールセンターも2026年7月31日で終了しています。
子ども2人なら4万円です。締切は自治体ごとに違うので、まだの人はお住まいの自治体のページだけ確認してください。ただ、多くの自治体はすでに閉じています。締切のあるものを後回しにすると、こういう終わり方をします。
正直、こういう給付は「そのうち調べよう」で終わりがちです。金額が数万円だと、通信費の見直しより優先度が低く見えてしまうんですよね。逆でした。
第1優先でやること
お住まいの自治体の「子育て」「給付金」のページを開いて、申請期限が書いてあるものだけを拾う。それ以外は今日は読まなくて大丈夫です。5分で終わります。
国の応援手当は終わりましたが、自治体が独自にやっている給付は、これから締切が来るものが残っています。よくあるのは次の2つです。
- 自治体独自の物価高騰対策給付:多くはすでに終了していますが、今月末や9月を期限にして受付中のところが残っています。金額も対象も自治体ごとにばらばらなので、国のニュースを追っていても気づけません
- 就学援助(学用品費・給食費などの補助):年度の途中でも申請を受け付ける自治体が多く、いま出せば以降の分から補助が付きます。ただし4月分まで遡れるかどうかは自治体で違います
どちらも所得の基準があるので、全員がもらえるわけではありません。自分が対象かどうかは、締切と一緒に3行だけ確認すれば分かります。
【第2優先】勝手に効いて、勝手に消えるものは?
次が、申請は要らないけれど終わる日が決まっているものです。2026年でいえば電気・ガス料金の支援がこれにあたります。
資源エネルギー庁の特設サイトによると、値引きの実施期間は2026年7月使用分から9月使用分まで。単価は電気(低圧)が7月と9月で1kWhあたり3.5円、8月が4.5円、都市ガスが1立方メートルあたり14.0円と18.0円です。申請の手続きは要りません。
🔎 終わる月には、たぶん気づけません
経済産業省の資料では、9月使用分は10月の検針分にあたります。つまり値引きが乗った最後の請求は10月検針ぶんで、値引きが消えるのは11月の検針でつくられる請求からです。
ところが10月・11月は冷暖房をあまり使わない時期なので、値引きが消えても請求の総額は前の月より下がります。効いてくるのは、暖房が回りだす1月の請求です。
ちなみにプロパンガス(LPガス)は、この支援の対象外です。公式サイトにもはっきり書かれています。そもそも値引きを受けていない家庭もある、ということです。
10月使用分以降も支援が続くかどうかは、2026年8月16日の時点で政府から発表がありません。
この支援は毎年の決まりごとではなく、そのつどの経済対策で決まる臨時の措置です。今回の7〜9月分も、2026年5月25日の総理会見で示された方針がもとになっています。冬も来るという前提で家計を組むのは危ないと思います。
この項目でやることは、節約ではありません。終わることを知っておくだけです。終わる時期そのものは、こちらでどうにもできません。
🔍 いくら消えるのかを使用量別に出した記事はこちら▶ 電気・ガス補助はいつまで?値引きが消えるのは11月の請求から
【第3優先】固定費の見直しはいつやればいい?
ここでようやく固定費です。通信費、保険、サブスク。これらは今月やっても半年後にやっても、始めた月から同じだけ効きます。だから急がなくていい。ただし、必ずやります。
冒頭の差し引き6.4万円=月およそ5,300円を埋める本体は、結局ここです。給付や支援は1回きりだったり期間限定だったりしますが、固定費だけは下げたぶんが翌月以降もずっと残ります。
👤 月5,300円をどこで作るか
- 通信費:一度乗り換えれば、以後は何もしなくても続く
- サブスク:使っていないものを止めるだけ。交渉も比較も要らない
- 電力・ガスの契約:支援が切れたあとも下がった状態が続く
我が家は電力会社を一度だけ見直しました。やったのは一度きりですが、効き続けているのはこの手のものだけです。
106万円の壁は、いま慌てて動かなくていい
最後に、2026年の変更点でいちばん誤解されやすいものを1つ。「2026年10月に106万円の壁が撤廃される」というニュースです。
厚生労働省の「社会保険適用拡大」特設サイトを読むと、たしかに賃金要件は2026年10月に撤廃する予定と書かれています。全国の最低賃金が時給1,016円を超えたため、週20時間以上働けば自動的に月8.8万円に届くから、という理由です。
ただし、加入の条件は4つあります。①月8.8万円以上、②週20時間以上、③勤め先の従業員が51人以上、④学生でないこと。10月に外れるのは①だけで、③はそのまま残ります。
| 時期 | 対象になる勤め先 |
|---|
| 現在 | 従業員51人以上 |
| 2027年10月から | 36人以上 |
| 2029年10月から | 21人以上 |
| 2032年10月から | 11人以上 |
| 2035年10月から | 10人以下 |
※このほか、2か月を超えて働く見込みであることも条件です。
⚠️ 見出しだけで働き方を変えない
つまり従業員50人以下の会社で働いているなら、2026年10月の時点ではまだ対象になりません。次に範囲が広がるのは2027年10月の「36人以上」です。
まず確かめるのは年収ではなく、勤め先の従業員数のほうです。ここを見ずにシフトを減らすと、必要のない我慢をすることになります。
日付が決まっていないもの、自分に当てはまるか分からないものは、いま考えなくていい。順番を決めるというのは、やることを選ぶことより、今日やらないことを決めることだと思っています。
去年の秋、電気代の請求が下がって「節約できてるな」と勝手に納得していたことがあります。あれは単に涼しくなっただけでした。数字は、見る月を間違えると簡単に嘘をつきます。
今月のうちにやる3つのこと
①自治体のページで「申請期限」だけ探す(5分)
子育て関連の給付は自治体ごとに締切が違います。金額より先に、期限のあるものだけ拾います。見るのは自治体独自の物価高騰対策給付と就学援助の2つで十分です。
②高校生の子がいるなら、就学支援金の申請状況を確認する(5分)
所得制限は撤廃されましたが、申請は必要です。学校から配られた書類を出したかどうかだけ確かめます。
③1月にカレンダーの予定を1つ入れる(1分)
「電気代の明細を去年の1月と見比べる」とだけ書いておきます。補助が消えた影響が見えるのは、11月でも12月でもなく1月の請求だからです。
固定費の見直しは、この3つが終わってからで間に合います。順番を逆にしないこと。この記事で伝えたかったのは、それだけです。
✏️ この記事のまとめ
- 2026年の負担増は4人家族で年8.9万円。対策で戻るのは2.5万円で、差し引き6.4万円(月およそ5,300円)は自分で埋めることになる
- 順番は金額でなく「締切があるか」で決める。固定費はいつやっても同じだけ効くので後回しでいい
- 第1優先は申請が要るもの。高校授業料の支援は所得制限が撤廃されても申請が必要
- 第2優先は自動で終わるもの。電気・ガスの支援は9月使用分までで、効いてくるのは1月の請求
- 106万円の壁は勤め先が51人以上かどうかを先に確認する。50人以下なら2026年10月は関係ない
2026年は変更点が多い年ですが、全部に反応する必要はありません。締切のあるものだけ先に片づけて、あとは落ち着いてから。それで十分間に合います。
執筆:papakakei.com 編集部(2026年8月16日時点の公表情報にもとづきます)
出典:第一生命経済研究所(現・第一ライフ資産運用経済研究所)/経済産業省・資源エネルギー庁/文部科学省/厚生労働省/こども家庭庁