家計改善

光回線の乗り換えは何か月で元が取れる?2026年に撤去工事費が有料化した今の損益分岐を年収500万円台パパが試算

ルーターの前で回線の契約を確かめる眼鏡のパパ

「今より月2,000円安くなりますよ」。ネット回線の乗り換えの話は、たいてい下がる金額のほうからやってきます。

でも家計として知りたいのは、そこではありません。乗り換えるときに出ていくお金を全部引いて、何か月目から本当に得になるのかのほうです。

しかも2026年、この計算の前提が静かに変わりました。これまで無料だった「解約時の撤去工事」が、NTT東日本・西日本ともに有料になったのです。この記事では、総務省とNTT東西の公式資料だけを使って、損益分岐が何か月になるかを計算しました。

🎯 この記事の結論

月3,000円下がる乗り換えでも、解約に派遣工事が入ると元が取れるのは10か月目。月1,000円しか下がらないなら2年半かかります。

  • 撤去工事費:戸建て13,200円(NTT東日本・公式HPから申し込んだ場合/無派遣なら0円)
  • 違約金の上限:月額料金の1か月分(総務省ルール/例:5,720円)
  • 工事費の残債:11,000円(22,000円を24回払い・12回残の場合)
  • → 解約する側で出ていくお金の合計は0円〜29,920円(乗り換え先の初期費用は別)。条件しだいで3万円近い差が出ます
📌 この記事でわかること
  • ネット回線を乗り換えるときに出ていくお金は4つだけ、ということ
  • 違約金には総務省のルールで上限があり、原則として月額料金の1か月分までであること
  • 2026年4月から新設された撤去工事費が、東日本と西日本でいくら違うか
  • 月いくら下がると何か月で元が取れるかの早見表
  • 申し込む前にやっておく3ステップと、8日以内なら無条件で解除できる制度

ネット回線の乗り換えで出ていくお金は? 実は4つだけ

乗り換えの費用は複雑に見えますが、分解すると4つしかありません。しかもこのうち①②の2つは、総務省のルールで請求できる上限が決まっています。③の撤去工事費は、利用者の希望で行う撤去なら全額を請求できるルールですが、やり方しだいで0円にできます。

根拠は、総務省が出している「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」です。2016年に作られ、2026年5月に最終改正されています。

出ていくお金上限・目安
① 違約金(解約金)月額料金の1か月分が上限
② 工事費の残債使った月数ぶんを引いた残りだけ
③ 撤去工事費派遣なら11,000〜22,000円(申し込み窓口で変わる)/無派遣は0円
④ 乗り換え先の初期費用工事費・事務手数料(各社の規約による)

ここが大事:①②は上限が総務省のルールで決まっているので、言い値ではありません。③は利用者の希望で行う撤去なら全額を請求できるルールですが、NTT東西が金額を公表しており、無派遣なら0円です。④は各社の自由設計です。つまり乗り換えで一番読みにくいのは、出るほうではなく入るほう(乗り換え先の条件)ということになります。

正直に言うと、私は乗り換えの広告を見たとき「月いくら安くなるか」しか見ていませんでした。出ていくお金のほうを、一度も数えたことがなかったんです。


違約金はいくら請求される? 上限は「月額料金の1か月分」

光回線の契約書面に記入して解約金の条件を確認する様子

「2年縛りを途中で解約すると数万円取られる」というイメージを持っている方は多いと思います。私もそう思っていました。

ですが2022年7月の規則改正で、状況は変わっています。総務省のガイドラインには、期間拘束契約の違約金について「1月当たりの利用料金相当額を上限として利用者に請求することができる」と書かれています。

月5,720円のプランを2年縛りの途中で解約しても、違約金として請求できるのは5,720円まで。それ以上は請求できません。

この「1月当たりの料金」の数え方にも決まりがあります。ガイドラインによれば、期間限定の割引(当初半年間は無料など)は考慮しない一方で、契約期間を通して適用される割引(セット割・学割など)は考慮するとされています。

つまり、スマホとのセット割で月額が下がっている人は、その下がったあとの金額が違約金の上限になるということです。セット割は毎月の支払いを下げるだけでなく、抜けるときのコストまで下げてくれていたわけです。

長く使っている人ほど例外にあたる可能性があります。この上限規制には経過措置があり、2022年6月30日までに結んだ契約(既往契約)は当分の間、適用外です。

2025年7月1日に「期間拘束のない既往契約」などの経過措置は廃止されましたが、完全に廃止されるのは2028年6月末。同じ回線を10年使っている家庭ほど、上限規制の外にいる可能性があります。

では自分の違約金がいくらかは、どこで分かるのか。答えは契約書面です。電気通信事業法の書面交付義務(法第26条の2)では、契約書面に記載しなければならない事項として「違約金額、その他契約解除・契約変更の条件等」が挙げられています。記載が義務づけられている項目なので、契約書面かマイページで確認できます。


2026年4月から撤去工事費が有料に|戸建てはいくら?

ここが今回いちばん大きな変更点です。NTT東日本・西日本はどちらも2025年10月31日に告知を出し、2026年4月1日以降の解約申し込み分から、解約時に工事担当者が訪問する「派遣工事」を有料化しました。それまでは無料でした。

区分NTT東日本NTT西日本
戸建て・派遣工事13,200円20,900円
集合住宅・派遣工事11,000円14,300円
無派遣工事0円0円

※いずれも税込。NTT東西の公式ホームページ(東日本はマイページを含む)から解約を申し込んだ場合の金額です。2026年7月1日以降、それ以外の窓口から申し込むと基本工事費が1,100円増えます(東日本は戸建て14,300円・集合住宅12,100円、西日本は戸建て22,000円・集合住宅15,400円)。

※NTT東日本は2026年9月30日、2027年4月1日申し込み分から基本工事費を8,250円→10,450円(公式ホームページから申し込んだ場合)に上げると発表しています。撤去工事費にはこの基本工事費が含まれているので、来年4月以降に解約する人は、そのときの金額を各社の案内で確認してください。

東日本の戸建て13,200円の内訳は、基本工事費8,250円+撤去工事費4,950円。集合住宅は8,250円+2,750円で11,000円です。同じ工事なのに西日本のほうが7,700円高いので、住んでいるエリアで損益分岐が変わります。

✅ 無派遣なら、今も0円

NTT東日本の告知には、「引込線等の通信設備を残置いただき、お客さまご自身でレンタル機器をご返却いただく、工事担当者が訪問しない『無派遣工事』については、これまで同様、無料といたします」と明記されています。

つまり壁の光コンセントを残したまま、ルーターやONUを自分で送り返せば0円。有料になったのは「撤去して元に戻す」ほうだけです。

⚠️ ここも見落としやすい
  • 土日祝の工事は+3,300円(東日本は年末年始12/29〜1/3も同額。西日本の年末年始・夜間は別途加算)。平日に休みを取れるなら、そのほうが安く済みます
  • 撤去工事費がかからないケースもあります。NTT側の都合で派遣になる場合/移転・プラン変更でサービスを続ける場合/IRUエリア(自治体が整備した設備を使う地域)でのご利用の場合など
  • 上の金額はNTT東西のフレッツ光などが対象です。ドコモ光・ソフトバンク光といった光コラボの各社は、それぞれの規約で扱いが決まるため、契約先に直接確認してください

撤去工事が有料になったこと自体、私は知りませんでした。しかも「無派遣なら0円」と書いてある。何も知らずに「じゃあ来てもらいます」と答えていたら、それだけで1万3,200円です。


損益分岐は何か月? モデルケースで計算する早見表

電卓とノートで光回線の乗り換えの損益分岐を計算する机の上

ここからが本題です。計算式は1本しかありません。

損益分岐の月数 = 出ていくお金の合計 ÷ 毎月下がる金額
この割り算の答えを切り上げた月から、乗り換えが黒字に変わります。

まず「出ていくお金の合計」を、次のモデルケースで出します。わが家の実額ではなく、上で確認した公式の数字だけで組んだモデルです。

前提:戸建て(NTT東日本エリア)/月額5,720円のプラン/開通時の工事費22,000円を24回払いにして12回ぶん支払い済み/2年縛りの途中。

工事費の残債は、ガイドラインの算定式どおり契約期間に応じて低減した額が上限です。24か月のうち12か月使ったので、22,000円 ×(24−12)÷ 24 = 11,000円。違約金は月額1か月分の5,720円。合わせて16,720円です。

毎月下がる金額出ていくお金
16,720円の場合
出ていくお金
29,920円の場合
月1,000円17か月目30か月目
月2,000円9か月目15か月目
月3,000円6か月目10か月目

右の列の29,920円は、左の16,720円に派遣での撤去工事費13,200円を足しただけです。工事担当者に来てもらうかどうかを選ぶだけで、月3,000円下がるケースの損益分岐が6か月目から10か月目へ、4か月ぶん後ろにずれます。

NTT西日本エリアの戸建てなら撤去工事費は20,900円なので、合計は37,620円。月3,000円下がっても13か月目、月1,000円なら38か月目まで元が取れません。3年以上かかる乗り換えは、正直それほど得ではないと思います。

表を作って一番おどろいたのは、月1,000円しか下がらないケースでした。得は得なんですが、実感が出るまで2年半かかる計算になります。それなら急がなくていい、と思えました。

なお、この表にキャッシュバックはあえて入れていません。3万円のキャッシュバックを受け取れる前提で計算すると、上の表の損益分岐はまるごと消えて「初月から得」になります。だからこそ、受け取れるかどうか未確定のお金を先に足し込むと、判断そのものが狂います。キャッシュバックは、確実に受け取れると分かってから足すのが順番です。


乗り換える前にやる3ステップ|順番を守るだけで数万円変わる

ここまでの数字を、行動に落とし込みます。申し込む前にやることだけを3つに絞りました。

①契約書面を出してきて、違約金額と工事費の残り回数を確認する
法律で契約書面に記載が義務づけられている項目です。紙が見つからなければ、契約先のマイページか電話で聞けば分かります。ここで更新月が近いと分かれば、待つだけで違約金がゼロになります。

②「無派遣工事で解約できますか」と先に聞く
ここが2026年からいちばん効くポイントです。建物の都合で派遣が必要になることもあるので、来てもらう前提なのか、機器を送り返すだけで済むのかを、解約を申し込む前に確認します。答えによって1万〜2万円動きます。

③乗り換え先には「キャッシュバックをいつ・どうやって受け取るか」を文字で出してもらう
金額ではなく受け取り方を聞きます。電話勧誘の場合、事業者には原則として契約前に書面を交付して条件を説明する義務があるので、口頭の説明だけで進めないことです。

③をあえて入れたのには理由があります。国民生活センターは2026年4月9日発行の「見守り新鮮情報」で、光回線の契約トラブルを取り上げています。

⚠️ 実際にあった相談(国民生活センター)

契約している事業者を名乗る電話で「利用している光回線を新しくする。通常は数千円かかるが今回は無料だ」と言われて申し込んだ。数日後に届いた申込書の送付元は、契約している事業者ではなく別会社だった。室内工事費として約3万円の記載もあった。(60歳代)

センターの助言は明快です。事業者は原則、契約前に書面を交付して料金や提供の条件を説明する義務があるので、書面を求めて判断すること。

そしてもうひとつ、知っておくと落ち着けるルールがあります。光回線(FTTHインターネットサービス)は「初期契約解除制度」の対象です。

契約書面を受け取った日から8日以内なら、契約に何と書いてあっても解除できます。これに反する「利用者に不利な特約は無効」と法律で決まっており、契約書面が交付されていない場合はいつでも解除できます。

ただし無条件でタダになるわけではありません。実際に行われた工事の費用や事務手数料は、決められた上限の範囲で請求されます。それでも「勢いで申し込んでしまった」を取り消せる8日間があるのは、心強い仕組みだと思います。

👤 いま急いで乗り換えなくていい人
  • 下がる額が月1,000円台で、工事費の残債がまだ半分以上ある人
  • 更新月まであと数か月の人(待つだけで違約金がゼロになります)
  • スマホとのセット割が効いていて、回線を変えるとスマホ代が上がる人
  • 建物の都合で派遣工事が避けられないと言われた人(西日本エリアは特に)

3つ目のセット割は見落としがちです。家のネット回線だけ見て安くしたつもりが、スマホ側の割引が外れて世帯の通信費では増えていた、ということが起こります。判断するときは、家のネット回線とスマホを1枚の紙に並べて、合計で比べてください。

スマホ側の削り方は格安SIMに乗り換えて夫婦の通信費を月1万円削減する手順にまとめています。

調べてよかったのは、違約金の上限が月額1か月分だと知れたことでした。「高額な違約金が怖い」という思い込みのほうが、実際の金額よりずっと大きかったんです。


まとめ:金額より先に、出ていくお金を数える

この記事のまとめ

・出ていくお金は違約金・工事費の残債・撤去工事費・乗り換え先の初期費用の4つだけ
・違約金の上限は月額料金の1か月分(ただし2022年6月30日までの契約は当分の間、適用外)
・工事費の残債は使った月数ぶんを引いた残りが上限
・2026年4月から撤去工事費が有料化。東日本の戸建て13,200円/西日本の戸建て20,900円、無派遣なら0円
・月3,000円下がる乗り換えでも、派遣工事が入ると元が取れるのは10か月目
・迷ったら①契約書面を見る ②無派遣で済むか聞く ③受け取り方を書面で出してもらうの順

固定費の見直しは「最初の一手」としてよく紹介されますし、実際そのとおりだと思います。ただネット回線に関しては、下げ幅だけを見て動くと、抜けるコストのほうが大きくなることがあります。

やることは、月々の請求書ではなく契約書面を1枚探してくるところから。違約金額も、工事費の残りも、そこに書いてあります。数えてから決めれば、乗り換えても、見送っても、どちらでも納得できます。

出典(2026年10月14日確認)
・総務省総合通信基盤局「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」平成28年3月(令和8年5月最終改正)
・総務省「電気通信事業法第27条の3の施行状況の検討」2022年10月
・NTT東日本「各種工事費の新設および改定について」2025年10月31日公開・2026年6月29日更新
・NTT東日本「一部サービスの料金および工事費等の改定について(工事費)」2026年9月30日
・NTT西日本「フレッツ光など解約時に派遣工事を行った際の撤去工事費の新設について」2025年10月31日
・国民生活センター「見守り新鮮情報 第538号」2026年4月9日発行

※本記事は2026年10月14日時点の公表資料をもとにした情報提供であり、個別の契約内容や乗り換えの判断を推奨するものではありません。実際の金額・条件はご契約中の事業者および乗り換え先の規約をご確認ください。執筆:papakakei.com 編集部