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扶養内の妻のiDeCoは所得税が戻らない?2026年は年収178万円まで0円|住民税の注意点と妻の年収別に試算

夫婦の書類を並べてiDeCoの節税額を比べる手元

「iDeCoは掛金が全額所得控除」。この一言に惹かれて、妻のぶんも口座を作ろうかと考える家庭は多いと思います。

ところが、扶養内で働いている妻の場合、戻ってくる所得税が1円もないことがあります。この記事は、年収500万円台・子育て中の40代パパが、妻の年収別に「iDeCoで所得税がいくら戻るか」を電卓で出したものです。

🎯 結論(先にお伝えします)

扶養内(年収130万円未満)で働く妻がiDeCoに月2万3,000円を入れても、戻る所得税は0円です。もともと所得税を払っていないからです。

  • 掛金は年 27万6,000円(月2万3,000円 × 12か月)
  • 妻の年収100万円・129万円・160万円・200万円 → 戻る所得税は いずれも0円
  • 所得税が戻り始めるのは年収210万円あたりから(年収220万円で年4,500円)、年収300万円で 年1万3,800円
  • ただし住民税は別。扶養内でも年収120万円前後を超えると住民税がかかり、その分はiDeCoで減ります(年収129万円で年9,500円前後)
  • いっぽう手数料は、国民年金基金連合会の分だけで 年1,260円(+加入時2,829円)
📌 この記事でわかること
  • 扶養内の妻がiDeCoに入ると所得税がいくら戻るのか(妻の年収別の早見表つき)
  • なぜ2026年は年収178万円まで所得税がかからないのか、その計算の中身
  • iDeCoに入れば「106万円の壁」「130万円の壁」は動くのか
  • それでも入る価値があるのはどんな場合かと、NISAとの使い分け

「全額所得控除」と聞くと、入れた分だけ返ってくるように読んでしまっていました。わが家も共働きなので妻のぶんも作ろうかと考えていたのですが、電卓を叩いたら戻る額が0円で止まって、手が止まりました。


扶養内の妻がiDeCoに入ると、所得税はいくら戻る?

答えから言うと 0円 です。掛金をいくら入れても変わりません。

所得控除は「払っている税金を減らす」仕組みです。もともと払っていない人の税金は、それ以上減らせません。扶養内で働いている妻は、この「もともと払っていない人」に当てはまります。

これは制度を運営している側が、はっきり書いています。iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会の公式サイトには、注意点として次の2つが並んでいます。

課税所得がない方は、掛金の所得控除は受けられません。
所得控除は、本人の所得からのみ控除されます。配偶者の所得からは控除されません。

iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoの特徴」より

後半の一文が、いちばん誤解されているところだと思います。妻の掛金を、夫の所得から引くことはできません。家計はひとつの財布でも、税金の計算は1人ずつ別々に行われるからです。

🧮 ほんとうにいくら戻る?
広告でよく見る数字掛金が全額所得控除(年27万6,000円)
妻の課税所得(年収129万円・扶養内)0円
引ける所得がないので、税率をかける前の段階で0円

→ 戻ってくる所得税は 0円 です。

出典:iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCo(イデコ)の特徴」

やりがちな勘違い:「妻の掛金も、夫の年末調整でまとめて出せばいい」。これはできません。妻の掛金は妻自身の所得からしか引けないので、妻に所得税がかからない年収帯では、書類を出す先そのものがありません。


なぜ0円になる?2026年は年収178万円まで所得税がかからない

ここは2つの控除を足すだけで確かめられます。給与で働いている人には、次の2つが自動でつきます。

控除の名前金額
給与所得控除(給与収入220万円まで・2026年分と2027年分)74万円
基礎控除(合計所得金額489万円以下・2026年分と2027年分)104万円
合計178万円
出典:国税庁 タックスアンサー No.1410(給与所得控除)・No.1199(基礎控除)。いずれも令和8年分・令和9年分の金額です(令和8年12月1日施行。1〜11月の給与の天引きには反映されず、12月の年末調整で精算されます)。

つまり、給与収入が178万円ちょうどなら、178万円 − 74万円 = 104万円が給与所得。そこから基礎控除104万円を引くと 課税所得は0円 になります。ここまでは所得税がかかりません。

そして扶養内で働くということは、年収130万円未満に収めるということです。130万円は178万円の内側なので、扶養内で働いているかぎり、妻の所得税は最初から0円ということになります。

0円からは、引けません。iDeCoの「全額所得控除」が効くのは、税金を払っている人だけです。扶養内の妻の場合、iDeCoで減る余地が残るのは所得税ではなく住民税のほうです(早見表の下で説明します)。

書類の上に置かれた電卓・所得税の計算をするイメージ

「103万円」で覚えている人へ:この178万円は、以前まで言われていた103万円が動いたものです。2026年分と2027年分は、給与所得控除の最低額が55万円から74万円に、基礎控除が48万円から104万円(合計所得金額489万円以下の場合)に変わりました。2025年分の数字(65万円+95万円=160万円)とも違います。103万円のつもりで計算すると、答えがずれます。

正直、わたしも「103万円の壁」で頭が止まっていました。数字が変わったことは知っていたのに、自分の計算だけ古いままだったんです。


iDeCoに入れば「106万円の壁」「130万円の壁」は動く?

「掛金のぶん所得が減るなら、その分だけ多く働けるのでは」。そう考えたくなりますが、壁は動きません。社会保険の壁も、税金の壁も、どちらもです。理由が別々なので、順に見ていきます。

① 社会保険の130万円は「賃金」で見るから

日本年金機構は、被扶養者の認定について、令和8年4月1日以降の取り扱いをこう書いています。労働条件通知書などに記載のある賃金から見込まれる年間収入が130万円未満であれば、原則として被扶養者に該当するものとして扱う、と。

見るのは賃金であって、所得でも課税所得でもありません。しかも同じページの注記に、ここでいう賃金は「労働基準法第11条に規定される賃金をいい、諸手当および賞与も含まれます」とあります。iDeCoの掛金を引く場所は、どこにもありません。

② 106万円の賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定

いわゆる106万円の壁は、正確には「所定内賃金が月額8.8万円以上」という加入要件のことです。

この要件について、日本年金機構は「最低賃金以上で週20時間以上働く場合は、所定内賃金が月額8.8万円以上となるため、この要件は令和8年10月に撤廃予定です」と書いています。

撤廃されると、判断のものさしは「週20時間以上働いているか」と「勤め先の規模」に移ります。金額の話ではなくなるので、iDeCoの掛金はますます関係がなくなります。

③ 配偶者控除の判定は「合計所得金額」だから

夫が配偶者控除を受けられるかどうかは、妻の合計所得金額が62万円以下か(給与だけなら給与収入136万円以下か)で決まります(2026年分から)。国税庁は合計所得金額の計算例を、こう示しています。

(例)給与収入90万円、不動産所得10万円の場合
給与所得=給与収入-給与所得控除=90万円-74万円=16万円
合計所得金額=給与所得の金額+不動産所得の金額=16万円+10万円=26万円

国税庁 タックスアンサー No.1190 より

足しているのは所得だけで、控除は1つも引いていません。iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除なので、この計算には入ってきません。つまり、iDeCoを始めても合計所得金額は1円も下がらず、配偶者控除の判定も変わりません。

⚠️ ここを間違えると働き方の設計がずれます

「iDeCoに入れば壁を超えて働ける」は誤りです。社会保険の130万円は賃金で、配偶者控除は合計所得金額で判定します。どちらもiDeCoの掛金を差し引いた後の数字ではありません。壁の内側で働くつもりなら、働く時間の設計とiDeCoは切り離して考えてください。


妻の年収別・iDeCoで戻る所得税はいくら?(早見表)

掛金は、扶養内の妻(第3号被保険者)の上限である月2万3,000円(年27万6,000円)にそろえて、妻の年収別に所得税を計算しました。左の列が今の所得税、右の列がiDeCoで戻る額です。

なお、年収130万円以上で勤め先の厚生年金に入る妻は第2号被保険者になり、掛金の上限は勤め先の企業年金の有無で変わります(企業年金のない会社員は2026年12月から月6万2,000円)。上限の変わり方は iDeCoの上限が月6.2万円に の記事にまとめました。

妻の年収今の所得税iDeCoで戻る額
100万円(扶養内)0円0円
129万円(扶養内)0円0円
160万円0円0円
180万円0円0円
200万円0円0円
220万円4,500円4,500円
250万円12,750円12,750円
300万円26,500円13,800円
※2026年分(令和8年分)の所得税で試算。収入は給与のみ、所得控除は基礎控除と社会保険料控除だけとしています。年収130万円未満は扶養内として社会保険料0円、130万円以上は給与の15.00%(東京都・協会けんぽ・40歳以上の折半分=健康保険9.85%+介護1.62%+子ども・子育て支援金0.23%+厚生年金18.3%の合計30.00%の半分)で計算しました。

戻る額が掛金に比例して増えないのは、もともと払っている所得税が上限だからです。年収220万円の行が4,500円、250万円の行が1万2,750円で止まっているのは、その人の所得税がもともとその額しかないためです。

年収300万円の行で初めて、戻る額が掛金いっぱいの1万3,800円に届きます。27万6,000円 × 5% = 1万3,800円。これが掛金月2万3,000円・税率5%のときに戻る額です。

⚠️ この試算に入れていないもの
  • 住民税。住民税の基礎控除は43万円のままなので、所得税が0円でも住民税はかかっていることがあります(扶養内でも年収120万円前後から)。その場合、iDeCoで住民税の所得割は減ります(たとえば年収129万円なら年9,500円前後。均等割は残ります)。非課税になる基準はお住まいの地域で違うので、住民税の通知書か市区町村の窓口で確認してください
  • 復興特別所得税(所得税額の2.1%)と、1,000円未満の端数処理
  • 雇用保険料、生命保険料控除など基礎控除・社会保険料控除以外の控除
  • 年収200万円以上の行は2026年分と2027年分の基礎控除104万円・給与所得控除(220万円までは74万円)で計算しています。2028年分(令和10年分)以後は基礎控除の表が変わる予定なので、そのときは計算し直しが必要です

それでも入る価値はある?手数料とNISAとの使い分け

節税が0円でも、iDeCoには「運用で増えた分に税金がかからない」という別の利点が残ります。ただし、そこだけを取り出すと、比較する相手はNISAになります。

そして忘れがちなのが手数料です。国民年金基金連合会の手数料だけでも、加入時に2,829円(税込・初回のみ)、掛金を納めるたびに105円(税込)がかかります。毎月納めれば年1,260円。これとは別に、口座を作った金融機関の管理料がかかります。

🧮 10年続けたときの連合会の手数料

2,829円 + 105円 × 12か月 × 10年 = 1万5,429円
節税が0円のままなら、この分は戻ってこない支出になります。

もうひとつ、iDeCoは原則として60歳になるまで引き出せません。これはiDeCo公式サイトが「ご注意いただきたいこと」の1つ目に挙げている点です。子どもの進学でお金が要る時期と、60歳が重なるとはかぎりません。

🙋 効く人・効かない人の分かれ目

いま効く人:妻が所得税を払っている(目安は年収210万円超)。老後まで動かさないお金として置ける。所得税が0円でも住民税を払っていれば、住民税は減ります。
いま効かない人:扶養内で、年収120万円前後に届いていない(所得税も住民税の所得割も0円)。教育費など、60歳より前に使う可能性のあるお金である。

木のテーブルの貯金箱とコイン・iDeCoとNISAの使い分けを考えるイメージ

迷ったときの順番は、次の3つで整理できます。

① 妻の源泉徴収票の「源泉徴収税額」を見る:ここが0円なら、iDeCoで戻る所得税はありません。あわせて住民税の通知書(税額決定通知書)の「所得割」も見ます。ここも0円なら、iDeCoで減る税金はありません(通知書の金額は前の年の年収で計算されたものです)。

② 0円だったら、置き場所をNISAで考える:運用益が非課税なのは同じで、手数料はかからず、必要になったときに売れます。縛りが少ないほうから使うのが順番として素直です。

③ 妻の働き方が変わるときに、もう一度計算する:扶養を外れて年収210万円を超えると、上の早見表の下の行に移ります。そこで初めてiDeCoの所得控除が働き始めます。

NISAで積み立てるといくらになるのか、金額のイメージがない方はこちらから確かめてみてください。


まとめ:0円からは引けない、を先に確かめる

✏️ この記事のまとめ
  • 扶養内(年収130万円未満)で働く妻は所得税が0円なので、iDeCoの掛金を年27万6,000円入れても戻る所得税は0円
  • 2026年は給与所得控除74万円+基礎控除104万円=年収178万円まで所得税がかからない(2026年分と2027年分)。130万円はその内側
  • 妻の掛金を夫の所得から引くことはできない(iDeCo公式サイトが明記)
  • iDeCoに入っても106万円・130万円の壁も配偶者控除の判定も動かない。壁は賃金と合計所得金額で見るため
  • 所得税が戻り始めるのは年収210万円あたりから。年収300万円で年1万3,800円(掛金月2万3,000円・税率5%のとき)
  • 住民税は基礎控除が43万円のままなので、扶養内でも年収120万円前後から所得割がかかり、その分はiDeCoで減る
  • 節税0円のあいだも手数料はかかる(連合会分だけで10年1万5,429円)。60歳まで引き出せない点も含め、まずはNISAと比べる

確かめる場所は、妻の源泉徴収票の「源泉徴収税額」と、住民税の通知書の「所得割」の2か所です。どちらも0円なら、iDeCoで減る税金はありません。制度の説明を読み込む前に、まず紙を2枚見るのが早いと思います。

妻の働き方そのものを見直すなら、年金がいくら増えるかまで含めて考えると判断が変わります。あわせて読んでみてください。

この記事は制度と公表資料をもとにした一般的な情報です。個別の税額・社会保険の判定・投資判断を保証するものではありません。ご自身の状況は、税務署・市区町村・年金事務所・勤務先にご確認ください。

執筆:papakakei.com 編集部|年収500万円台・子育て中の40代パパ