金利が上がったというニュースは何度も流れているのに、毎月の引き落とし額は去年とまったく同じ。「うちは大丈夫ということかな」と思った方は多いはずです。
ところが、返済額が変わらないことと、負担が変わらないことは別です。増えたぶんの利息は消えたわけではなく、同じ返済額の「中身」に移っているだけだからです。
この記事では、その移った先が返済予定表のどこに出るのか、そして5年後・30年後の金額がいくら変わるのかを、実際の数字で追いかけます。
この記事は2026年6月の利上げ(政策金利1.0%)を前提にしています。その後、2026年9月18日に日本銀行が政策金利を1.25%程度へ引き上げ、三菱UFJ銀行は同日、短期プライムレートを2.375%から2.625%へ(11月2日改定)と発表しました。
5年ルールの仕組みそのものは変わりません。2回目の0.25%も、返済額ではなく「中身」に入ってくるだけです。下で説明する4つの欄の見方は、そのまま2回目にも使えます。
2回目ぶんが返済に出てくるのは、三菱UFJ銀行の場合で毎月型が2027年2月、年2回型が2027年7月の約定返済分から。ローンの利息がいくら増え、預金の利子がいくら増えるのかは 利上げでわが家は損?得? にまとめました。
- 残高2,500万円・残り30年・年0.945%なら、毎月の返済額は79,780円。金利が0.25%上がっても、5年ルールがある契約なら、次の見直しまでこの額は1円も動かない
- 動くのは中身。利息が19,687円→24,896円に増え、元金に回る分は60,093円→54,884円へ減る(月およそ5,200円ぶん)
- 5年(60回)積み上がると、元本が29万8,922円ぶん余計に残る。払った利息の増加額とぴったり同じ金額です
- 30年の総返済額でみると約107万円の増加。ただしそのうち5年ルールによる先送りぶんは約3万3,000円で、残りは金利が上がったこと自体の影響です
- 金利が上がっても返済額が変わらない仕組み(5年ルール)の中身
- 増えた利息が返済予定表のどの欄に出るのか、見るべき4つの欄
- 5年間で元本の減りがどれだけ遅れるか、総返済額はいくら変わるか
- 「未払利息」が発生するのは金利が何%まで上がったときか
- 金利見直し後に届く銀行の通知で確かめる3つのこと
前回は5年でいくら残るかまで計算しましたが、それが返済予定表のどの欄に、どう出てくるのかは確かめていませんでした。
変動金利が上がったのに返済額が変わらないのはなぜ?
理由は、多くの銀行が採用している5年ルールという仕組みにあります。金利が動いても、毎月の返済額は5年間そのままにするという取り決めです。
三菱UFJ銀行は、変動金利かつ元利均等返済で借りている場合について「返済額は5年ごとに見直しします。金利が変更になっても、次回の見直しまで返済額は変わりません(元金と利息の内訳は変わります)」と説明しています。
みずほ銀行はもう少し踏み込んだ書き方をしています。「返済元金と利息の合計額が一定となるように返済元金額と利息額の割合の調整を行います」。つまり、合計を固定するために内訳のほうを動かしている、ということです。
5年ルールが固定しているのは毎月の金額であって、払う総額ではありません。増えた利息は免除されず、返済額の内側で場所を移しています。
「5年」は契約日から5年ではない
ここは見落としやすいところです。三菱UFJ銀行は「10月1日を1回経過する毎に1年経過したものとみなします」と書いています。
みずほ銀行も同じで、「10月1日を5回経過した際に、その時の金利に応じて再計算した新たな返済元金と利息の合計額が適用されます」としています。
数えるのは借りた日からの年数ではなく、10月1日を何回通り過ぎたかです。この数え方どおりなら、9月に借りた人は数週間後の10月1日で1回目のカウントが進みます。
5年ルール・125%ルールは、変動金利かつ元利均等返済の場合の話です。三菱UFJ銀行は「元金均等返済で借入の場合は、5年ルール・125%ルールはありません」と明記しています。そもそもこのルールを採用していない銀行もあります。
その場合は先送りされない代わりに、返済額そのものが動きます。どちらのタイプなのかは契約内容で決まるので、必ずご自身の書類で確認してください。

増えた利息はどこに出る?返済予定表で見る4つの欄
答えは返済予定表です。通帳やアプリの引き落とし履歴には「79,780円」という合計しか出ませんが、返済予定表にはその内訳が1回ぶんずつ書かれています。
下の表は、残高2,500万円・残り30年・年0.945%で借りている人の1回目の返済が、金利0.25%の上昇でどう変わるかを並べたものです。
| 返済予定表で見る欄 | 年0.945%のとき | 年1.195%になったあと |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 79,780円 | 79,780円(変わらない) |
| うち利息 | 19,687円 | 24,896円 |
| うち元金 | 60,093円 | 54,884円 |
| 返済後に減る残高 | 60,093円ぶん | 54,884円ぶん |
合計の79,780円は上下ひとつも動いていません。動いたのは利息が5,200円ほど増え、元金がその分だけ減ったという中身です。
返済予定表を開くとき、見るべき欄は4つだけです。①毎回の返済額 ②そのうちの利息 ③そのうちの元金 ④返済後の残高。金利が上がったあとの回で③が小さくなっていれば、それがそのまま「増えた利息の行き先」です。
書類の名前は銀行ごとに違う
探すときにつまずきやすいのが呼び名です。同じ書類でも、銀行によって言い方が変わります。
新しい内訳はいつ分かる?
三菱UFJ銀行は、2026年6月16日に発表された短期プライムレートの引き上げを受けて、2026年9月1日から変動金利の基準金利を見直すと告知しています。そのうえで、すでに借りている人には次のスケジュールを示しています。
| 金利の種類 | 新しい利率が効く返済 | 「ご返済のお知らせ」の発行 |
|---|---|---|
| 変動金利(毎月型) | 2026年11月の約定返済分から | 2026年10月上旬ごろ |
| 変動金利(年2回型) | 2027年1月の約定返済分から | 2026年11月上旬ごろ |
つまり三菱UFJ銀行の場合、新しい内訳が書かれた書類が手元に届くのは10月から11月にかけて。届いてから開くのではなく、届く前にどの欄を見るかを決めておくと、5分で終わります。
前回出した29万円台の差が、毎月の元金の欄では5,000円ちょっとずつしか見えないんですね。これは引き落とし額だけ眺めていても気づけません。
👉 変動金利が上がると住宅ローンの返済はいくら増える?2027年1月から効いてくる額を試算
そもそも自分の契約がいつ見直されるのか、返済額が動くタイプなのかを先に知りたい方はこちらから。

5年でいくら差がつく?総返済額で見た「先送り」の値段
1回あたり5,200円ほどの話なら大したことはない、と感じるかもしれません。積み上げるとどうなるかを見てみます。
| 5年間(60回)の合計 | 年0.945%のまま | 年1.195%になった場合 |
|---|---|---|
| 払った利息の合計 | 1,096,199円 | 1,395,121円 |
| 5年後に残っている元本 | 21,309,399円 | 21,608,321円 |
| 差 | ― | どちらも29万8,922円 |
返済額は同じ79,780円を60回払っただけなのに、5年後の残高には29万8,922円の差が開いています。返済額だけ見ていると、ここは見えません。
30年の総返済額はいくら変わる?
もっと長い目盛りで見ます。金利が1.195%のまま30年続いたと仮定して、総返済額を3つ並べました。
| 30年の総返済額 | 金額 | 上がらなかった場合との差 |
|---|---|---|
| 金利が上がらなかった場合 | 2,872万745円 | ― |
| 0.25%上がる/5年ルールあり | 2,979万4,017円 | 約+107万3,000円 |
| 0.25%上がる/5年ルールなし | 2,976万746円 | 約+104万円 |
表の下2行を比べると、5年ルールがあることで増えるのは約3万3,000円です。107万円のうち、残りの約104万円は金利が0.25%上がったこと自体で発生しています。
「5年ルールは損だ」という言い方をよく見かけますが、金額でみると主役は金利のほうです。5年ルールは負担を作っているのではなく、気づきにくくしていると考えるのが実態に近いと思います。
5年後の返済額はいくらになる?
据え置かれていたぶんは、見直しのタイミングで返済額に反映されます。同じ前提で計算すると、79,780円 → 83,357円(月3,577円増)です。
金利が上がった時点ですぐ反映されていれば82,669円だったので、5年待ったぶん月688円だけ高い返済額からのスタートになります。
なお、上がり幅には上限もあります。125%ルールがある契約なら、新しい返済額は前回までの125%を超えません。この例なら99,725円が天井です。今回の0.25%の上昇では、天井までかなり距離があります。
未払利息はいつ発生する?金利が何%まで上がったら起きるか
5年ルールの話でよく出てくるのが未払利息です。三菱UFJ銀行は「適用利率が急上昇して利息分だけで返済額を超えてしまった場合、超過分は未払利息として翌月以降に繰り延べします」と説明しています。
返済額を利息が食い尽くし、元金がまったく減らなくなる状態です。では、それは金利が何%になったときに起きるのでしょうか。この例なら電卓1回で出ます。
| 毎月の返済額 | 79,780円 |
| 79,780円 × 12ヶ月 ÷ 残高2,500万円 | 3.83% |
| いまの適用金利 | 0.945% |
→ 未払利息が出るのは、いまより 約2.9ポイント 上がったときです。
多くの銀行で変動金利のもとになる短期プライムレートは、2025年3月の1.875%から2026年11月の2.625%まで、1年8か月かけて0.75ポイント上がる見込みです(2026年11月2日の改定を含む)。
2回の利上げが乗って適用金利が1.445%になったとしても、境目まではまだ約2.4ポイントあります。いまのペースなら、そこに届くまでには何年もかかる計算です。いまの水準で未払利息を心配する段階ではない、というのが数字から出る答えです。
もうひとつ知っておくと安心なのは、この境目は残高が減るほど高くなることです。残高が2,160万円まで減れば境目は4.43%に上がります。未払利息のリスクがいちばん大きいのは、借りた直後の残高が大きい時期だということになります。
「未払利息」という言葉の響きが怖くて、ずっと見ないようにしていました。自分の返済額と残高で割ってみたら距離が分かって、ようやく落ち着いて考えられるようになりました。
金利見直し後に届く通知で確かめる3つのこと
ここからは実務です。やることは確認だけで、お金は1円もかかりません。
- 返済額の見直し時期が数年以内に来る(据え置かれていたぶんがまとめて出る)
- 5年ルールが付いていない契約(返済額そのものが先に動く)
- 教育費のピークが見直し時期と重なっている(同じ時期に2つ立ち上がる)
そして、この3つが分かってもやることは増えません。金利が上がったからといって、あわてて借り換えや繰り上げ返済を決めないことのほうが大事です。今回の幅で動く金額は月に数千円で、判断を1か月遅らせても取り返しはつきます。
次の通知が届いたら、元金の欄だけ前回と比べるつもりです。見る欄を1つに絞れば、これなら続けられそうです。
まとめ:返済額が同じでも、中身は毎月変わっている
- 5年ルールが固定するのは毎月の返済額だけ。増えた利息は内訳のなかで元金の場所を奪う
- 残高2,500万円・残り30年なら、利息19,687円→24,896円、元金60,093円→54,884円
- 5年で元本が29万8,922円ぶん余計に残る。増えた利息の合計とぴったり同じ額
- 30年の総返済額は約107万円増。うち5年ルールの先送りぶんは約3万3,000円で、主役は金利のほう
- 未払利息が出るのはいまより約2.9ポイント上がったとき。残高が減るほど境目は遠くなる
- 「5年」は10月1日を5回通過した時点。借りた月によって、見直しまでの実際の期間は最大で1年近く変わる(本文の例では10か月)
- 通知で見るのは、①新しい金利 ②元金の欄 ③次の見直し時期の3つ(三菱UFJ銀行なら10月から11月に届く。他行は各行の告知で確認)
住宅ローンは家計でいちばん大きな固定費です。金利は自分で下げられませんが、中身が変わったことに気づける状態にはしておけます。引き落とし額ではなく、元金の欄を見る。それだけで、見直しの時期が来たときに慌てずに済みます。
いちばん大きい固定費の現在地が分かったら、次は動かしやすい費目の順番です。食費・光熱費・通信費の見直し方は別記事にまとめています。
👉 変動金利が上がると住宅ローンの返済はいくら増える?2027年1月から効いてくる額を試算
執筆:papakakei.com 編集部|年収500万円台・子育て中の40代パパ
※金額はすべて概算です。適用金利・見直し時期・ルールの有無は契約している金融機関と商品によって異なります。判断の前に必ずご自身の契約内容をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の返済判断・投資判断を推奨するものではありません。
