2026年10月から、パートで働く配偶者の社会保険のルールが大きく変わります。いわゆる106万円の壁(月8.8万円の賃金要件)が撤廃され、従業員51人以上の会社なら、週20時間以上働くだけで厚生年金に加入する形になります(50人以下の会社は当面これまでどおりです)。
気になるのは「手取りが減るのは分かった。じゃあ将来の年金は結局いくら増えるのか」というところです。ここが分からないと、働き方を決めようがありません。
💰 手取りがいくら減るかは▶ 106万円の壁が撤廃!パート妻が損しない年収を手取りで試算
- パート年収120万円で15年加入 → 将来の年金は月およそ8,100円(年約9.7万円)増える
- そのために引かれる社会保険料は月およそ13,800円(年約16.6万円)。うち厚生年金は月およそ9,000円で、残りは健康保険
- その厚生年金分だけを年金で取り返せるのが受け取り開始からおよそ17年後=82歳前後(健康保険料まで含めると25年ほど)
- 増えるのは報酬比例部分だけ。基礎年金は扶養のままでも満額つくので増えない
- 2026年10月に何が変わるのか(106万円の壁の撤廃と、残る週20時間の条件)
- パート年収120万・150万・180万円で、毎月引かれる保険料はいくらか
- 加入10年・15年・20年で、将来の年金は月いくら増えるのか
- 何歳まで生きれば元が取れるのか(損益分岐の年齢)
- 年金だけに頼らず、増えた分をどこに置くか
正直に言うと、私は最初「手取りが減る」ところで思考が止まっていました。将来の年金がいくら増えるのかを電卓で出してみるまで、損得の判断ができていなかったです。
2026年10月から何が変わる?106万円の壁は週20時間の壁へ
2026年10月に撤廃されるのは、賃金要件(月8.8万円以上=年収106万円相当)です。時間の条件である週20時間以上は残ります。
つまり、これまで月8.8万円ぎりぎりで調整していた働き方は意味がなくなり、週20時間以上働くかどうかが分かれ目になります。厚生労働省は、この改正で新たに約200万人が加入対象になると見込んでいます。
ここで混同しやすいのが130万円の壁です。106万円の壁は「自分の勤め先で社会保険に入る基準」、130万円の壁は「配偶者の扶養から外れる基準」で、まったく別の制度です。
今回の改正で撤廃されるのは前者だけで、130万円の壁は残ります。勤め先が50人以下なら、当面は130万円が判断のラインになります。
ただし2026年4月から、扶養に入れるかどうかは実際の収入実績ではなく、労働契約に書かれた見込み額で判定するように変わりました。契約に入っていない残業代は原則カウントされないので、繁忙期の残業で一気に外れる心配は小さくなっています。
ただし残業が恒常的に続く場合は実態で見られますし、通勤手当は所得税で非課税でも130万円には全額カウントされます。ここは自己判断せず、勤め先の健康保険組合に確認してください。
パート年収別・毎月の保険料はいくら引かれる?

まず出ていく側から見ます。厚生年金の保険料率は18.3%で会社と折半なので本人負担は9.15%、健康保険は協会けんぽの全国平均9.90%の折半でおよそ4.95%です。
あわせて給料のおよそ14%が引かれる計算になります。賞与なし・40歳未満(介護保険料なし)で試算すると次のとおりです。
| パート年収(月収) | 本人負担の保険料 |
|---|---|
| 120万円(月10万円) | 月 約13,800円/年 約16.6万円 |
| 150万円(月12.5万円) | 月 約17,800円/年 約21.3万円 |
| 180万円(月15万円) | 月 約21,200円/年 約25.4万円 |
年収120万円なら手取りは年16万円ほど減ります。
上の表は40歳未満の前提です。40歳以上は介護保険料(令和8年度は1.62%・折半で0.81%)が上乗せされ、年収120万円なら年およそ9,500円、180万円なら年およそ1.5万円が加わります。
この目減りを「将来の年金」で取り返せるのか、が次の話です。
年16万円と聞くと大きいですが、内訳の半分は健康保険です。健康保険は年金には反映されない代わりに、傷病手当金や出産手当金が使えるようになります。ここを一緒くたに損だと数えると、判断を間違えます。
将来の年金は月いくら増える?加入年数別に試算
厚生年金で増えるのは報酬比例部分です。計算式は「平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数」で、これに当てはめると次のようになります。
| パート年収 | 10年加入 | 15年加入 | 20年加入 |
|---|---|---|---|
| 120万円 | 月 約5,400円 | 月 約8,100円 | 月 約10,700円 |
| 150万円 | 月 約6,900円 | 月 約10,400円 | 月 約13,800円 |
| 180万円 | 月 約8,200円 | 月 約12,300円 | 月 約16,400円 |
年収180万円で20年働けば月16,400円ほど、生涯で見れば年約19.7万円が一生続きます。終身で受け取れる点が、貯金との一番の違いです。
配偶者の扶養(第3号被保険者)でいる間も、老齢基礎年金は納めた扱いで満額カウントされます。
だから厚生年金に入って増えるのは報酬比例部分だけ。「加入すれば年金が倍になる」わけではありません。
何歳まで生きれば元が取れる?損益分岐は82歳前後

ここが今回いちばん知りたかったところです。払った厚生年金保険料(本人分)を、増えた年金で何年で取り返せるかを計算しました。
年収120万円・15年加入なら、本人が払う厚生年金保険料は総額およそ161万円。増える年金は年9.7万円なので、161万円 ÷ 9.7万円 = およそ17年です。
保険料率(9.15%)と年金の計算式(5.481÷1000)の比率は決まっているため、年収がいくらでも、加入年数が何年でも、回収にかかるのは約16.7年です。
65歳から受け取るなら82歳前後が損益分岐。女性の平均寿命は87歳ほどなので、多くのケースでは受け取り超過になります。
ただし、これは厚生年金の保険料だけで見た数字です。健康保険料まで含めると、回収には25年ほどかかります。
とはいえ健康保険は、医療費の3割負担や傷病手当金という別の給付に対する保険料です。年金と同じ土俵で数えるのは無理があります。
82歳という数字が出た時点で、わが家は「加入する側」で腹をくくりました。長生きするほど得になる保険だと考えれば、目先の16万円は保険料として納得できます。
減った手取りをどう埋める?年金の上乗せを自分で作る手順
公的年金で増えるのが月8,000円前後だとすると、それだけで老後が変わるわけではありません。目減りした手取りの一部を、そのまま積立に回すのが現実的な埋め方です。
わが家は、増えた社会保険料と同じ金額をいきなり積立に回すのは無理だと判断し、月5,000円から始めました。クレカ積立にすればポイントも乗るので、実質の負担を少し薄くできます。
- ① 固定費を1つ削る:光熱費・通信費から先に手をつける(食費は最後)
- ② 浮いた分を新NISAへ:月5,000円のクレカ積立から始める
- ③ 余裕が出たらiDeCo:上限は扶養のままでも厚生年金に入っても月2.3万円で変わらない。ただし2027年1月の拠出分から、企業年金のない会社員は月6.2万円まで広がる予定
クレカ積立を始めるなら、年会費無料で還元率の分かりやすいカードを1枚持っておくと迷いません。すでに持っている人はそのままで十分です。
🔍 どのカードが自分に合うか迷う人は▶ 投資パパが選んだクレカ3枚の使い分け
もうひとつの選択肢がiDeCoです。掛金は全額が所得控除になりますが、効くのは所得税や住民税を払っている人だけ。給与所得者は年収160万円までは所得税がかかりません。パート年収120万円だと社会保険料を引いた時点で住民税の所得割もゼロになり、節税額は0円です。150万円でも戻るのは年2万円ほどで、月2.3万円の枠は使い切れません。
厚生年金に入ったから税金がかかるようになる、という話でもありません。社会保険料は全額が控除されるので、むしろ課税所得は下がります。
さらに60歳まで引き出せないのが最大の制約です。教育費のピークが先にある家庭は、まず新NISAを優先したほうが安全だと考えています。
逆に言えば、iDeCoが効くのは妻ではなく、所得税を払っている側=わが家では私のほうでした。年収500万円台なら所得税と住民税をあわせて掛金の15〜20%ほどが戻る計算です。
妻のiDeCoは、掛金の上限が月6.2万円に広がる2027年1月にあらためて考えることにしています。まずは新NISAの積立を軌道に乗せるのが先です。
加入する?時間を減らす?わが家の決め方
選択肢は大きく2つです。週20時間以上働いて加入するか、週20時間未満に減らして扶養に残るか。
時間を減らせば保険料は取られませんが、当然収入も将来の年金も増えません。しかも週20時間ぎりぎりで調整するために、シフトの自由度を手放すことになります。
- あと10年以上は働くつもりがある
- 働く時間をもっと増やしたいのに、壁のせいで抑えていた
- 体調やケガで働けなくなったときの保障を厚くしたい
あと数年で働くのをやめる予定の人は、加入期間が短いぶん増える年金も小さくなります。
また勤め先が50人以下なら2026年10月時点では対象外です。まずは自分の勤め先が何人規模かを確認するのが先です。
この「51人」は会社全体の人数ではなく、厚生年金に入っているフルタイム相当の人数で数えます。自分で数えるのは難しいので、勤め先の総務に「うちは社会保険の適用拡大の対象ですか」と一言聞くのが確実です。
わが家は「壁を気にして時間を削るほうが、結局もったいない」という結論になりました。年金の増え方より、働きたいだけ働けるようになったことのほうが大きかったです。
まとめ:目先は年16万円のマイナス、回収は約17年
- 2026年10月に撤廃されるのは賃金要件。週20時間以上が新しい分かれ目
- 年収120万円なら保険料は年約16.6万円、増える年金は15年加入で月約8,100円
- 厚生年金保険料の回収は約16.7年=82歳前後。年収にも加入年数にもよらない
- 増えるのは報酬比例部分だけ。基礎年金は扶養のままでも満額
- 2026年10月時点の対象は従業員51人以上の会社。50人以下は当面130万円の壁で判断
減った手取りを埋める入口として、まずは月5,000円の積立から始めるのが現実的です。
🔍 どのカードが自分に合うか迷う人は▶ 投資パパが選んだクレカ3枚の使い分け
papakakei.com 編集部