「フリーランスや自営業には育休も、育休中の保険料免除もない」——長くそう言われてきました。ところが2026年10月から、国民年金の保険料が子どもの1歳まで免除される新しい制度が始まります。会社員だけでなく、自営業・フリーランスのパパ・ママが対象です。
「毎月の年金、正直けっこう重い…」と感じている子育て世帯にとっては見逃せない話です。この記事では、誰がいくら免除されるのか、会社員との違い、申請のしかた、そして浮いたお金の活かし方まで、年収500万円台・子育て中のパパ目線でやさしく整理します。
- 月17,920円(令和8年度の国民年金保険料)が、子の1歳まで免除される
- フリーランスの父なら最大12か月=約21.5万円、母は産前産後とあわせて最大13か月分
- 免除された期間も将来の年金は満額のまま(減らない)。ただし申請しないともらえない
- 2026年10月開始「国民年金の育児免除」で誰が・いくら免除されるか
- 会社員(第2号)との違い。対象になる人・ならない人
- 浮いた約21.5万円を新NISAで18年運用したら将来いくらか(試算)
- 申請の手順と、見落としやすい注意点
私は会社員として働きながら副業でライターをしているので、この免除の対象は私ではなくフリーランス仲間のほう。でも先日この話をしたら「え、そんな制度できるの、全然知らなかった」と全員が驚いていました。知らないと丸ごと損する典型です。
2026年10月開始「国民年金の育児免除」ってどんな制度?
正式には「国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除制度」。ざっくり言うと、自営業・フリーランスの人が子どもを育てている間、国民年金の保険料を払わなくてよくなる仕組みです。2026年(令和8年)10月1日にスタートします。
これまで会社員(厚生年金)には育休中の保険料免除がありましたが、国民年金だけで加入している自営業・フリーランスには育児を理由にした免除がありませんでした。今回それが埋められる、というのが最大のポイントです。
「うちは共働きで妻はパート、自分だけ自営業」というように、夫婦のどちらか一方だけがフリーランスでも、その人が子を養育していれば対象になります。要件は子と親子関係が続いていること・子と同じ住所であることです。
対象になる人・ならない人は?
ここが一番まちがえやすいところ。会社員(厚生年金=第2号)と、その扶養に入っている配偶者(第3号)は、この国民年金の育児免除の対象ではありません。会社員はもともと別の育休の仕組みがあるためです。立場ごとに整理すると次のとおりです。
| 立場 | 対象? | 免除される期間 |
|---|---|---|
| 自営業・フリーランスの父 | ◯ 対象 | 最大12か月 |
| 自営業・フリーランスの母 | ◯ 対象 | 産前産後+育児で最大13か月 |
| 会社員(第2号)のパパ | × 対象外 | 別途、厚生年金の育休免除 |
| 扶養内のパート・専業(第3号) | × 対象外 | — |
すでにある「産前産後期間の免除」(出産前後の4か月、多胎なら6か月を免除する制度)とは別物で、今回の育児免除はその産前産後の期間に続く「1歳まで」をカバーするイメージです。母親は両方を合わせて使えるので、免除される月数が父親より長くなります。
フリーランスパパは実際いくら浮く?月17,920円を試算

いちばん気になるのは金額ですよね。免除されるのは国民年金保険料そのもの。2026年度(令和8年度)の保険料は月17,920円です。ここから単純に計算してみます。
- 父(最大12か月):17,920円 × 12 = 約21万5,000円
- 母(産前産後+育児で最大13か月):17,920円 × 13 = 約23万3,000円
- 夫婦ともフリーランスなら:合わせて約45万円前後が浮く計算
子ども1人あたり20万円超。これは「もらえる給付金」ではなく「払わなくてよくなるお金」なので、申請さえすれば手取りがまるっと軽くなるタイプの制度です。収入が読みにくいフリーランスにとって、産後の一番お金がかかる時期に固定費が1つ消えるのは大きいです。
しかも免除された期間は「保険料を納めた」のと同じ扱い。将来もらえる老齢基礎年金は減りません。ここが「未納」との決定的な違いです。
「免除=将来の年金が減る」と思い込んで、あえて払い続けようとする人がいるんですが、この制度は払ったのと同じ扱い。減らないのに軽くなる、めずらしく素直に得な話です。
浮いた約21.5万円を新NISAで18年運用したらいくら?

浮いたお金をそのまま生活費に溶かすのはもったいない。せっかくなので、子どもが生まれた0歳のうちに投資へ回して、大学入学の18年後まで置いておくとどうなるかを試算してみます(あくまで目安。投資に元本保証はありません)。
- 年利3%で運用:約21.5万円 → 約37万円
- 年利5%で運用:約21.5万円 → 約52万円
- 夫婦2人分の約45万円なら、年利5%で約108万円まで育つ計算
1回きりの入金でも、18年という時間が働くと2倍以上になり得ます。もちろん値動きはありますが、「浮いたお金だから、なくても困らない」お金を長期でほったらかすのは、教育費づくりと相性がいいやり方です。同じ考え方は児童手当でも使えます。
👉 児童手当を全額NISAに回した場合の18年試算は、こちらで詳しくシミュレーションしています▶ 児童手当の高校生まで拡充を全額NISAに回したら18年後いくら?
なお、フリーランスは会社員と違って厚生年金がなく、将来の年金が薄いのが弱点です。だからこそ、免除で浮いたぶんをiDeCo(掛金が全額所得控除)や新NISAで「自分年金」として積み上げておくと、老後の備えにもなります。どちらも制度としては中立に選べます。
申請しないともらえない|手続きと注意点は?
この制度は自動では始まりません。産前産後免除と同じく、市区町村の窓口(国民年金の担当課)へ自分で届け出(申請)をして初めて免除されます。ここを知らずに払い続けてしまう人が必ず出るので要注意です。
- 会社員(第2号)は対象外。副業でライターや物販をしていても、本業が会社員なら第2号のままなので使えません
- スタート時点ですでに子がいる場合、2026年10月以降の月ぶんだけが免除対象(さかのぼりはなし)
- 「未納」とは別物。黙って払わない=ただの未納で年金が減るので、必ず申請を
正直、こういう「申請すればもらえる系」って、忙しい育児期にいちばん見落とすんですよね。出生届や児童手当の手続きに行くタイミングで、年金の窓口も一緒に回るのがおすすめです。
免除だけに頼らない|フリーランス家計の守り方3つ
収入が波打つフリーランス・自営業こそ、「入るお金を増やす」より先に「出るお金を強くする」のが家計の土台。免除で浮いた分を活かしつつ、あわせてやっておきたい3つを紹介します。
① 浮いた保険料は投資へ(iDeCo・新NISA)
前の章のとおり、浮いた約21.5万円を教育費や老後資金に回すのが王道。とくにフリーランスは年金が薄いので、iDeCoや新NISAで自分年金を作っておく価値が高いです。
② ふるさと納税で「実質2,000円」の節税を効かせる
フリーランス・自営業は自分で確定申告をするので、ふるさと納税との相性が抜群。ワンストップ特例を使わずに確定申告へそのまま組み込めます。実質2,000円の負担で、お米・お肉・日用品などの返礼品が届くので、免除で浮いたお金を守りながら食費まで軽くできます。
年末は駆け込みで枠が読みにくくなりがち。年の前半のうちに上限額をシミュレーションしておくと、返礼品もじっくり選べます。
③ 固定費(光熱費)を下げて土台を軽くする
在宅で仕事をするフリーランスは、日中も家にいるぶん電気代がかさみやすいのが実情。電力会社を見直すだけで、使い方は変えずに毎月の光熱費が下がることがあります。一度の切り替えで効果がずっと続くのが固定費見直しの強みです。
まとめ:知って・申請して、浮いたお金を未来へ
- 2026年10月から、自営業・フリーランスの国民年金が子の1歳まで免除(月17,920円)
- 父は最大12か月=約21.5万円、母は産前産後とあわせ最大13か月。所得制限なし・父も対象
- 免除されても将来の年金は満額。ただし会社員(第2号)は対象外
- 申請しないともらえない。出生届や児童手当の手続きと一緒に窓口へ
- 浮いたお金は新NISA・iDeCoへ。ふるさと納税と固定費見直しで家計の土台も強く
「フリーランスは制度で守られない」というのは、少しずつ過去の話になってきました。使える制度はちゃんと使って、浮いたぶんを子どもの未来に回す。それだけで数年後の景色は変わります。
まずはふるさと納税の上限額だけでも先にチェックしておくと、年末に慌てずに済みます。免除で浮いたお金と合わせて、無理なく家計を整えていきましょう。
※本記事は2026年7月時点の公表情報をもとにした一般的な解説です。制度の詳細・最新情報は日本年金機構や市区町村の窓口でご確認ください。
執筆:papakakei.com 編集部