家計改善

家計の予算は手取りのいちばん少ない月で決める|残業代とボーナスをあてにしない組み方を4人家族で試算

ダイニングで無地の紙を12枚並べ、1枚に付箋を貼る眼鏡のパパ・手取りのいちばん少ない月で予算を決めるイメージ

残業が多かった月は「今月は余裕がある」と感じて、つい使ってしまう。ボーナスが入るまでの数か月は、なぜか貯金が減っていく。手取りに波がある家庭では、よくある流れです。

原因は、月の予算を「平均の手取り」で組んでいることかもしれません。年の手取り380万円・4人家族のモデルで、予算の組み方を3通り並べて1年分を計算しました。

🎯 この記事の結論
  • ボーナス込みの平均(月31.7万円)で予算を組むと、夏のボーナスの前に約25万円、冬のボーナスの前に約27万円足りなくなる
  • 手取りがいちばん少ない月(月25万円)で組めば、1年中足りない月が出ない
  • そのうえで残業代とボーナスの年80万円が「波の分」として手元に残る
📌 この記事でわかること
  • 会社員の給料のうち、残業代とボーナスはどれくらいを占めるか(厚生労働省の統計)
  • 「年の手取り÷12」「ボーナス抜きの平均」「いちばん少ない月」の3通りで1年を回した結果
  • ボーナスが減った年・残業がなくなった年に、どの組み方がくずれるか
  • 波の分を置いておく場所と、予算を見直すタイミング

腕時計のために2年貯めたとき、決めていたのは「ボーナスや残業代をあてにしない」ことでした。毎月コンスタントに削れる範囲だけで組んだから続いた。月の予算も同じ考え方で組めるのでは、と思って計算してみました。


残業代とボーナスは給料のどれくらい?会社員の平均で年収の約2割がボーナス

まず全国の平均を見ておきます。厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年分)で、パートを除く一般の労働者の給料を分けると次のとおりです。

給料の中身(額面)1人あたり月平均
基本給・手当(所定内給与)34万634円
残業代など(所定外給与)2万7,477円
ボーナスなど(特別に支払われた給与)9万7,812円
合計(現金給与総額)46万5,923円
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」事業所規模5人以上・調査産業計・一般労働者。各行とも公表値(所定外給与・特別に支払われた給与)

ボーナスは月にならすと約9.8万円、年にすると約117万円です。給料の合計に対して約21%、つまり年収のおよそ2割は毎月は入ってこないお金ということになります。

残業代は毎月の給料(定期給与)の約7.5%です。平均では小さく見えますが、繁忙期と閑散期で大きく動くのが残業代の特徴です。

残業代は「額面どおり」には増えない
残業代にも所得税と社会保険料がかかるので、手取りの増え方は額面より小さくなります。
さらに4〜6月に残業が多いと、その3か月の給料をもとに社会保険料の等級が決まり直し、9月分から1年間の保険料が上がることがあります(定時決定)。


白い豚の貯金箱にコインが落ちていく様子

手取りに波がある家庭の予算はいくら?3つの組み方で1年を試算

モデルは4人家族の会社員です。残業がない月の手取りが25万円、残業代の手取りが月0〜4万円、ボーナスの手取りが6月と12月に30万円ずつ。1年の手取りは合計380万円です。

月残業代(手取り)その月の手取り
1月0円25万円
2月1万円26万円
3月4万円29万円
4月2万円27万円
5月1万円26万円
6月2万円27万円+ボーナス30万円
7月1万円26万円
8月0円25万円
9月1万円26万円
10月2万円27万円
11月2万円27万円
12月4万円29万円+ボーナス30万円
※金額はモデルです。年度末と年末に残業が増え、休みの多い1月・8月は残業がない、という想定で置いています

この手取りに対して、月の予算(生活費と毎月の積立の合計)を3通りで決めて、1年を回してみました。

予算の組み方月の予算足りない月
A:年の手取り÷1231.7万円ボーナス月以外の10か月すべて
B:ボーナス抜きの平均26.7万円6か月(計6万円)
C:いちばん少ない月25.0万円0か月

Aは「年の手取りをならした額」なので、いちばん公平に見えます。でも実際は、ボーナスが入るまで毎月3〜7万円ずつ穴が広がっていく組み方です。

🧮 Aの組み方だと、穴はどこまで広がる?
1〜5月の不足(毎月の手取り−31.7万円の合計)約25.3万円
6月のボーナスで埋めたあとほぼ0円
7〜11月の不足の合計約27.3万円
12月のボーナスで埋めたあとほぼ0円

→ ボーナスは「使えるお金」ではなく、それまでの赤字の穴埋めで消えています。

Bは残業代の波だけが残る組み方で、残業の少ない月に月0.7〜1.7万円ずつ足りなくなります。Cはいちばん少ない月に合わせているので、どの月も手取りが予算を下回りません。

「ボーナスが入ったのに、なぜかお金が残らない」の正体はこれでした。使ったのではなく、半年分の赤字を後払いしていただけなんですよね。


ボーナスが減ったら赤字になる?平均で組んだ予算がくずれる2つのパターン

Aの組み方は、ボーナスと残業代が毎年同じだけ入ることが前提です。どちらかが減ると、その分がそのまま赤字になります。

こんな年はA:年の手取り÷12C:いちばん少ない月
冬のボーナスが2割減(30万→24万円)年末に6万円の赤字波の分が80万→74万円に減るだけ
異動などで残業がゼロに1年で20万円の赤字波の分が80万→60万円に減るだけ

Bの組み方も、残業がゼロになると月約1.7万円×12か月=年約20万円足りなくなります。残業代を月の予算に入れている限り、残業が減った年に家計が苦しくなります。

Cの組み方なら、ボーナスや残業代が減っても「貯められる額が減る」だけで、毎月の暮らしは変わりません。減ったときに生活を削らなくていいのがいちばんの違いです。

⚠️ 「いちばん少ない月」は年に2回変わる
  • 6月:給料から天引きされる住民税が、新しい年度の額に切り替わる
  • 10月ごろ:定時決定で社会保険料が変わる(9月分の保険料から。翌月の給料で引く会社なら10月の給与明細で分かる)
  • 昇給・手当の増減・子どもの扶養の変化があった月も、手取りの底が動く

12月のカレンダーとオレンジ色のペン

残業代とボーナスはどこに置く?「波の分」を分ける3つの手順

Cの組み方にすると、残業代とボーナスは最初から予算の外になります。放っておくと普通預金に混ざって、結局どこかで使ってしまうので、置き場所を先に決めておくのがコツです。

📝 いちばん少ない月で予算を組む3ステップ
  • ① 12か月分の給与明細を並べる:「差引支給額」(手取り)がいちばん少ない月を探します。ボーナスの明細は除きます。共働きなら2人それぞれの底の月を足します
  • ② その額で月の予算を組む:生活費と、毎月の積立(NISAなど)を合わせて、底の月の手取りに収まるようにします
  • ③ 上に出た分は給料日に別口座へ:底の月より多く入った分と、ボーナスは、そのまま「波の口座」に移します(ネット銀行の目的別口座のように、口座の中で用途ごとに分けられるものが便利です)

波の口座に貯まったお金は、使い道で3つに分けておくと迷いません。

波の分の3つの行き先
1. 足りない月の予備:思わぬ出費で予算を超えた月に使う。まずは生活費の1か月分ほど
2. 特別費:帰省・家電の買い替え・学用品・車検など、年に数回の出費。年額を見積もって取り分ける
3. 貯蓄・投資:1と2を取ったあとの残り。何年も使わないお金

モデルの年80万円なら、1と2を取り分けても手元に残る額がはっきり見えます。ボーナスの行き先を「入ってから考える」のではなく、入る前に決めておけるのもこの組み方の良いところです。

今年の夏のボーナスは、手取り約30万円を「守る・増やす・使う」の3つに仕分けて、全部は使いませんでした。行き先を先に決めておくと、ボーナスが入った日にやることは振り分けだけになります。

10月の給与明細は、予算を見直すいい機会
定時決定で社会保険料が変わると、底の月の手取りも変わります。10月の明細が届いたら、「差引支給額」をこれまでの底の月と比べてみてください。下がっていたら、予算もその額に合わせます。

底の月の手取りに予算が収まらないときは、先に固定費と変動費を見直すのが近道です。手を付ける順番はこちらにまとめています。


まとめ:月の予算は「平均」ではなく「底」で決める

✏️ この記事のまとめ
  • 会社員の平均では、給料の約2割がボーナス、毎月の給料の約7.5%が残業代(2025年・厚生労働省)
  • 年の手取り÷12で予算を組むと、ボーナスの前に25万円前後の穴が開き、ボーナスは穴埋めで消える
  • 同じ組み方だと、冬のボーナスが2割減るだけで年6万円、残業がなくなると年20万円の赤字になる
  • いちばん少ない月の手取りで組めば足りない月は0。モデルでは年80万円が波の分として残る
  • 波の分は別口座へ。予備・特別費・貯蓄の3つに分け、6月と10月に底の月を見直す

残業代とボーナスは、入ってくる月も額も自分では選べません。だからこそ、毎月の暮らしは確実に入る額だけで回して、波の分は「おまけ」として別に貯めていく。今日は給与明細を12か月分並べて、いちばん少ない月を1つ見つけるところから始めてみてください。

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」年平均結果の推移(事業所規模5人以上・一般労働者)
※モデルの手取りは説明のために置いた金額で、特定の家庭の給与明細ではありません。統計の数字は2026年10月時点の公表値です。毎年2月ごろの確報に合わせて見直します。

執筆:papakakei.com 編集部