家計改善

変動金利が上がると住宅ローンの返済はいくら増える?2027年1月から効いてくる額を試算

廊下で銀行からの書類を両手で読む眼鏡の日本人男性

金利が上がったというニュースは、もう何度も流れています。でも「それで、うちの住宅ローンはいつ、いくら増えるのか」と聞かれると、答えられる人はそう多くありません。

住宅金融支援機構の住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)では、2025年4月から9月に住宅ローンを借りた人の75.0%が変動型を選んでいます。

その一方で、金利リスクを「理解しているか少し不安・よく理解していない・全く理解していない」と答えた人の合計は52.0%。4人に3人が変動を選び、その半分が仕組みをつかみきれていない、という状態です。

この記事では、2026年8月にすでに起きた金利の動きが、いつ・いくらになって返済に出てくるのかを、実際の数字で追いかけます。光熱費や食費とは桁がひとつ違う話です。

結論:もう上がっている。効いてくるのは2027年1月の返済から(年2回型の場合)
  • 変動金利のもとになる短期プライムレートは、2026年8月3日に2.125%から2.375%へ0.25%上がった
  • 見直しが年2回型の契約なら、10月1日時点の金利で決まり、返済額に出てくるのは2027年1月の返済分から
  • 見直しが毎月型の契約なら、もっと早い時期の返済分から動く
  • 5年ルールがない契約(元金均等など)なら、残高2,500万円・残り30年で月2,889円・年およそ3万5,000円の増加
  • 5年ルールがある契約は返済額が据え置かれる代わりに、5年で約29万9,000円ぶん元本が余計に残る
📌 この記事でわかること
  • 変動金利が上がるタイミングは、契約ごとに年2回か毎月かが決まっていること
  • 借入残高別に、0.25%と0.5%で月いくら増えるかの早見表
  • 返済額が変わらない人ほど気づきにくい「5年ルール」の中身
  • 自分の契約を5分で確認する3つのポイント
  • 繰り上げ返済と新NISA、どちらを先にするかの考え方

変動金利はいつ上がる?決まるのは4月1日と10月1日

変動金利は毎日ふらふら動いているわけではありません。多くの銀行は「短期プライムレート」という指標をもとに、決まった日に見直します

その短期プライムレートが、日本銀行の統計ではっきり動いています。日銀が公表している主要行の短期プライムレート(最頻値)の推移は次のとおりです。

実施日短期プライムレート(最頻値)
2025年3月3日1.875%
2026年2月2日2.125%
2026年8月3日2.375%
出典:日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年8月12日現在)。最頻値は都市銀行5行のうち最も多くが採用した金利。

もとをたどると日本銀行の政策金利です。日銀は2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレートの誘導目標を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げました。

7月31日の会合では、その1.0%程度を据え置いています。6月の動きが、2か月ほど遅れて短期プライムレートに伝わった形です。

見直しの日付は契約で決まっている:三菱UFJ銀行の場合、変動金利(年2回型)は毎年4月1日・10月1日を基準日として利率を決め、10月1日に算定した新しい利率は同年12月の返済日の翌日から適用されます。つまり実際の引き落としに反映されるのは1月の返済分から(4月1日ぶんは7月の返済分から)。
同じ銀行でも変動金利には毎月見直しのタイプがあり、その場合はもっと早い返済分から動きます。どちらなのかは契約書で確認してください。(出典:三菱UFJ銀行の利率見直しルールの説明資料2026年8月3日現在)

ここが今回のいちばんの要点です。年2回型の契約なら、8月に上がった0.25%は、10月1日の基準に乗り、12月に利率が切り替わって、2027年1月の返済分から姿を現します

年2回型なら、いま通帳を見ても何も起きていません。でも、何も起きていないことと、決まっていないことは別です。

金利のニュースは何度も見ていたのに、うちの返済にいつ効くのかは一度も調べたことがありませんでした。年2回の決まった日に決まっている、と知って正直ぞっとしました。

なお、10月1日時点の指標が今の水準のままかどうかは、その日にならないと確定しません。この記事は「今の水準が続いた場合」として読んでください。


テーブルの上に置かれた家の模型と積み上げられたコイン

変動金利が0.25%上がると返済は月いくら増える?

では実際の金額です。0.25%と聞くと小さく感じますが、住宅ローンは元の金額が大きいので、数字にすると印象が変わります。

✏️ 試算の前提
いまの残高0.25%上がると0.5%上がると
2,000万円月+2,311円月+4,674円
2,500万円月+2,889円月+5,842円
3,000万円月+3,467円月+7,010円
3,500万円月+4,044円月+8,179円
残り30年・元利均等・年0.945%を出発点にした概算。金額は円未満を四捨五入。

残高2,500万円の行を見てください。返済額は月79,780円から82,669円へ、2,889円の増加です。1年で約3万5,000円、残り30年ぶんを合計すると約104万円になります。

0.5%上がった場合は月5,842円増。年およそ7万円、30年で約210万円です。月々の数千円が、期間の長さで100万円単位に化けるのが住宅ローンの怖いところです。

電気やガスの節約は月に数百円から千円台の勝負になりがちですが、住宅ローンは0.25%動いただけで月に数千円。家計の中で桁がひとつ違います。だからこそ、削る努力より先に「いま何が起きているか」を把握するほうが効きます。

ちなみに「効いてくるのが数か月あと」という構造は、光熱費でも同じことが起きています。電気・ガスの負担軽減策も、終わる月ではなくその2か月後の請求で効いてきます。家計は、原因と痛みの時期がずれるようにできています。

先に手を付ける順番で迷っている方は、締切があるものから片づける考え方をまとめた記事もあわせてどうぞ。


返済額が変わらないのに損をする?5年ルールの落とし穴

ここまで読んで「うちは返済額が変わったことがないから関係ない」と思った方もいるかもしれません。実はそこがいちばん危ないところです。

多くの銀行には5年ルール125%ルールという仕組みがあります。三菱UFJ銀行の説明では、変動金利で元利均等返済の場合、適用利率が変更されても返済額は5年間一定で変化しません。ただし元金と利息の内訳は変わります

125%ルールのほうは、5年ごとの見直しのときに、新しい返済額が前回までの125%を超えないようにするものです。

やさしい仕組みに見えますが、金利が上がったぶんの利息が消えるわけではありません。返済額が同じまま利息が増えれば、そのぶん元金の減りが遅くなるだけです。

5年間のあいだの金利5年後に残っている元本
変わらなかった場合約2,131万円
0.25%上がった場合約2,161万円約29万9,000円多い
0.5%上がった場合約2,191万円約60万2,000円多い
残高2,500万円・残り30年・返済額79,780円を5年間据え置いた場合の概算。差額はそのまま「余計に払った利息」でもあります。
⚠️ 返済額が同じ=影響なし、ではない

毎月の引き落としは1円も変わらないのに、5年後に残っている借金が約29万9,000円多い。これが5年ルールの実態です。通帳を見ているだけでは絶対に気づけません。

しかも先送りされたぶんは消えず、5年後の見直しで返済額が跳ね上がるか、最後の回にまとめて残ります。

正直、5年ルールは借りる側を守ってくれる優しい制度だと思い込んでいました。守っているのは月々の金額であって、払う総額ではないんですね。

さらにややこしいのは、この2つのルールが全員に付いているわけではないことです。

5年ルールが付かない代表例
元金均等返済を選んでいる場合(三菱UFJ銀行は元金均等返済にはこのルールはないと明示しています)
そもそも採用していない銀行ソニー銀行は「5年ルール」や「125%ルール」に基づく返済額の計算を行っていないと公表しています

この場合は金利が上がるとすぐに返済額そのものが動きます。先送りされない代わりに、来年の家計に直接効いてくるということです。

つまり同じ「変動金利で借りている人」でも、来年1月に起きることは返済額が増える人元本の減りが遅くなる人の2通りに分かれます。どちらなのかは、自分の契約書を見るまで分かりません。


テーブルで書類を広げて内容を確認する二人の手元

自分の契約はどっち?いま5分で確認する3つのこと

ここから先は、読んで終わりにしないための実務です。借入時の書類か、銀行のインターネットバンキングの返済予定表を開いてください。

① 金利タイプはどれか
変動か、固定期間選択か、全期間固定か。変動なら「年2回見直し」か「毎月見直し」かまで見る。

② 返済方法と5年ルールの有無
元利均等か元金均等か。5年ルール・125%ルールが付いているか。ここで来年1月の出方が決まります。

③ 通知はどこに届くか
利率や返済額が変わるとき、銀行は案内を出します。紙で届くのか、メールやアプリの通知だけなのかを確かめておく。

この3つが分かれば、12月から1月にかけて自分に何が起きるかを、事前に言い当てられる状態になります。やることは確認だけで、お金は1円もかかりません。

🔍 とくに早めに見ておきたい人
  • 5年ルールが付いていない銀行で借りている(来年1月に返済額が直接動く)
  • ここ5年以内に返済額の見直し時期が来る(据え置かれていたぶんがまとめて出る)
  • 教育費のピークが数年以内に重なる(同じ時期に支出が二重で立ち上がる)

わが家も住宅ローンを抱えている身なので、この3つは週末に返済予定表を開いて確かめました。金利は自分でどうにもできませんが、いつ何が起きるかを知っておくだけで慌てずに済みます。


繰り上げ返済と新NISA、どちらを優先する?

金利が上がる局面では「繰り上げ返済を急いだほうがいいのでは」という話が必ず出ます。ただ、子育て世帯にとってはそう単純ではありません

繰り上げ返済で得られるのは、これから払うはずだった利息を減らす効果です。今回の前提(年0.945%が1.195%になる)なら、減らせるのは年1%前後の利息。この数字が判断の出発点になります。

判断する前に押さえる3つ
  • 住宅ローン控除が効いている間は、繰り上げ返済の効果が目減りする。残高に応じて税金が戻る仕組みなので、残高を減らすと戻る額も減ります
  • 手元のお金を減らしすぎない。繰り上げ返済に回したお金は、あとから引き出せません
  • 団体信用生命保険が付いている。万一のときにローンが消える保険でもあるので、急いで消すことだけが正解とは限りません

わが家は住宅ローン控除を使っている最中で、残高に応じて戻ってくる分があります。控除が終わるまでは残高を減らす旨みが小さいので、いまは繰り上げ返済に急いでいません。

とはいえ「だから全部を投資に回すべき」とも言いません。投資に回したお金は増えることも減ることもあり、繰り上げ返済で減る利息は確実だからです。

確実に減るものと、増えるかもしれないものを同じ天秤に乗せるときは、増えるほうを少し割り引いて考えるくらいでちょうどいいと思っています。

優先順位は、①生活防衛資金を確保する ②住宅ローン控除が効いている間は積立を優先する ③控除が終わったら、金利水準を見て繰り上げ返済を検討する。この順番が、金利が上がる年でも崩れにくい形だと考えています。

いま金利が上がったからといって、あわてて借り換えや繰り上げ返済を決めないこと。今回の0.25%で動く額は月に数千円で、判断を1か月遅らせても取り返しはつきます。逆に、勢いで手元のお金を使い切るほうが家計には効きます。

金利のニュースを見て不安になるたびに、結局は自分の契約書を開くのがいちばん早いという結論に戻ってきます。今回もそうでした。


まとめ:金利は動かせないが、いつ効くかは先に知っておける

この記事のまとめ
・短期プライムレートは2026年8月3日に2.125%から2.375%へ上がった
・年2回型の契約は10月1日の水準で見直され、返済に出るのは2027年1月から(毎月型はもっと早い)
・5年ルールがない契約なら、残高2,500万円・残り30年で月2,889円、年およそ3万5,000円の増加
・5年ルールがある人は返済額が変わらない代わりに、5年で約29万9,000円ぶん元本が余計に残る
・元金均等や5年ルールのない銀行なら、返済額そのものが動く
・いまやることは確認だけ。金利タイプ・返済方法・通知の届き方の3つ

📝 いちばん伝えたいこと

金利は自分で下げられません。できるのは、上がったことに気づける状態にしておくことだけです。

とくに5年ルールがある人は、引き落とし額が変わらないので何も起きていないように見えます。でも中身は確実に変わっています。

1月の返済のあとに返済予定表を開いて、元金と利息の内訳がどう変わったかを一度だけ見てみてください。それだけで、来年以降の判断がだいぶ楽になります。

住宅ローンは家計でいちばん大きな固定費です。ここを把握したうえで、食費や光熱費のような動かしやすい費目をどう扱うかを決めると、順番を間違えずに済みます。


執筆:papakakei.com 編集部|年収500万円台・子育て中の40代パパ
※金額はすべて概算です。実際の返済額・見直し時期は契約している金融機関の条件によって異なります。判断の前に必ずご自身の契約内容をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の返済判断・投資判断を推奨するものではありません。