育休を取る前に、副業の仕事をどうするか迷う人は多いと思います。ネットで調べると「いくらまでなら稼いでいい」という話ばかりが出てきます。
ところが厚生労働省の資料を原文で読んでみると、育児休業給付金が消えるかどうかを決めているのは、稼いだ金額ではなく働いた日数のほうでした。ここを逆に覚えていると、1日ぶんの副業代のために20万円以上を失います。
育休中の副業でまず見るべきは金額ではなく日数です。1か月に10日(10日を超えるなら80時間)までに収まっていれば給付金は減りません。
- 月給35万円のパパの育児休業給付金は月およそ23万4,500円
- 働いた日が11日以上になり、さらに合計80時間を超えた瞬間、その月の給付は0円
- 産後パパ育休が10日なら、働ける上限は10日ではなく4日まで
- 育休中の副業で給付金が減る条件と、減らない条件
- 月給35万円のパパが1日多く働くと、手元がいくら変わるかの試算
- 産後パパ育休では「10日」の上限がそのまま使えない理由
- 次の子の給付金まで減らしてしまう、見落としがちな落とし穴
正直に書くと、私は育休を取らなかった側の人間です。だからこれは私自身が育休を取った体験談ではなく、副業をしている今の自分が育休を取るとしたら何に引っかかるのかを、制度の原文から確かめた話になります。
育休中に副業したら給付金は減る?決めているのは金額より日数
育児休業給付金には、支給されるための条件がいくつかあります。その中に「1か月あたりに働いた日数」の上限があります。
厚生労働省のリーフレットにはこう書かれています。1つの支給単位期間に働いた日が10日以下であること。10日を超える場合は、働いた時間が80時間以下であること。ここを超えると、その月の給付金は減るのではなく、まるごと支給されません。
そしてもう1つ、多くの記事が触れていない大事な仕組みがあります。同じリーフレットの注意事項に、次の2つが並べて書かれています。
働いた日数と時間を数えるときは、雇用保険に入っていない勤め先で働いた分も含める。いっぽうで、給付金を減額するかどうかを計算するときの賃金には、雇用保険に入っていない勤め先から支払われた分は含めない。
育休そのものの家計インパクトを先に知りたい人は、年収500万円台パパが3ヶ月育休を取ったら家計はどうなるかの試算を読んでからのほうが、この記事の数字が入ってきやすいと思います。

1か月に何日まで働ける?10日・80時間の線引き
数字だけ見ると単純ですが、読み違えやすいポイントが2つあります。順番に整理します。
- 働いた日が10日以下(時間は問われません)
- 働いた日が11日以上でも、合計80時間以下に収まっている
つまり1日1時間だけ作業する日を20日つくるという組み方も、合計が80時間以下なら成立します。
- 働いた日が11日以上で、かつ80時間を超えた
- 育休を終える月に、まるまる1日も休んでいない(終了日を含む月は、全日休んだ日が1日以上必要)
もう1つ、勤務先から給料が出るケースの話も押さえておきます。育休中に会社から賃金が支払われた場合、その額が賃金月額の13%以下なら減額はありません。13%を超えて80%未満だと、賃金月額の80%との差額が支給額になります。80%以上が支払われると、給付金は出ません。
副業で月8万円稼ぐと手取りはいくら変わる?年収550万円で試算
ここからは、わが家に近い条件で電卓を叩きます。数字を置かないと、10日・80時間と11日・88時間の差がどれくらい怖いかが伝わらないからです。
ここに、1日8時間・8,000円の副業を足していきます。月10日で80時間・8万円、11日で88時間・8万8,000円です。10日までは働いた時間を問われませんが、11日目に入った瞬間、80時間という枠で判定されるようになります。
| 1か月に働いた日数 | 育児休業給付金 | 手元に残る合計 |
|---|---|---|
| 0日 | 約234,500円 | 約234,500円 |
| 10日・80時間(副業80,000円) | 約234,500円 | 約314,500円 |
| 11日・88時間(副業88,000円) | 0円 | 約88,000円 |
11日目の作業で増えるのは8,000円です。その8,000円のために、約23万4,500円の給付金が消えます。10日でやめた場合と比べると、その月の手元は22万6,500円ほどマイナスになります。
逆に、11日目に働いても合計80時間以下に収まっていれば給付は守られます。就業時間の端数は切り上げで数えるので、80時間を数分でも超えると81時間として扱われます。つまり危ないのは「11日以上かつ80時間超」の組み合わせで、そこに気づかず「10日を超えたらアウト」とだけ覚えていると、逆に働ける余地を捨てることにもなります。
この表を自分で作っていて手が止まりました。私の副業は細切れなので80時間には届きませんが、フルタイムに近い働き方の副業を持っている人は、11日目に足を踏み入れた瞬間に23万円が消えます。ここを知らずに月末だけ詰め込む、という事故は普通に起きそうです。

産後パパ育休だと「10日」は使えない?休業が短いほど上限も縮む
パパの育休で多いのは、子の出生後8週間のうちに取る産後パパ育休(出生時育児休業)です。ここに、いちばん見落とされている罠があります。
厚生労働省の2026年8月1日改訂版のリーフレットには、10日・80時間という上限は「28日まるごと休んだ場合の数字」で、休業期間が28日より短いときはその日数に比例して短くなると明記されています。
| 産後パパ育休の日数 | 働ける上限 |
|---|---|
| 28日 | 10日(10日を超えるなら80時間) |
| 23日 | 9日 |
| 14日 | 5日(40時間) |
| 10日 | 4日(4日を超えるなら約28.57時間) |
2週間の産後パパ育休なら、働けるのは5日までです。1か月まるごと休むつもりで「10日はいける」と覚えていると、半分でアウトになります。
よく聞く「育休は手取り10割」の正体は、育児休業給付金の67%に出生後休業支援給付金の13%が上乗せされて合計80%になり、社会保険料の免除と非課税で手取りが10割相当まで戻る、という仕組みです。
この13%の上乗せでまず問われるのは、自分が産後パパ育休を通算14日以上取ることです。配偶者側にも14日以上という条件が一応ありますが、妻が出産した場合は子の生まれた日の翌日に妻が産後休業中なので、この条件は自動的に満たされます(厚生労働省の資料に「配偶者の育児休業を要件としない場合」として明記されています)。つまりパパが見るべき数字は、自分の14日だけです。同じ資料には、産後パパ育休が12日だと不支給になる通知の例まで載っています。13日と14日で、もらえる額がはっきり変わります。
職場に相談するとき、つい「2週間くらい」と丸めて言いたくなります。でもここは丸めないほうがいい場所でした。日数の刻みがそのままお金になります。
見落としがちな落とし穴は?次の子の給付金まで減ることがある
金額と日数の話が片づいたところで、あとから効いてくる3つを挙げます。どれも制度の資料の隅に書かれているものです。
育休中に1か月で11日以上働くと、そのときの賃金額が次の子の育児休業給付金を計算するときに使われる場合があると注意書きされています。育休中は当然ふだんより賃金が低いので、いま働いたことが2人目の給付を押し下げる可能性があります。
育児・介護休業法のうえでは(厚生労働省「育児休業中の就労について」)、育休中に働けるのは子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にという前提です。厚生労働省は恒常的・定期的に就労させる場合は育児休業をしていることにならないとはっきり書いています。ただしこれは、育休を取っている勤務先で働く場合のルールです。副業先や自分で請け負っている仕事がここに含まれるとは書かれていません。
とはいえ勤務先の副業規定は別にあります。毎週水曜は副業、のように固定して入れるつもりなら、育休に入る前に勤務先へ通しておくほうが安全です。
そして現実的な話をすると、給付金の申請は原則2か月ごとにまとめて行うので、入金は育休に入ってしばらく先になります。副業で埋めようとするより、育休前に現金を厚くしておくほうが確実です。ここは固定費の見直しがいちばん効きます。
育休に入る前にやっておくと、休んでいるあいだずっと効き続けます。
まとめ:育休中の副業は日数の管理がすべて
- 給付が消えるかどうかは金額ではなく日数。10日以下、または80時間以下に収める
- 月給35万円なら給付は月約23万4,500円。11日目の8,000円のために失う額としては重すぎる
- 産後パパ育休は上限が日数に比例して縮む。10日の休業なら4日まで
- 自分が14日以上取らないと13%の上乗せが消える。13日と14日で額が変わる(妻が出産した場合、配偶者側の14日は自動で満たされる)
- いま働いた分が次の子の給付を下げることがある
調べてみて思ったのは、育休は稼ぐ期間ではないということでした。月10日という枠は思ったより広いのですが、その枠を使い切る前提で育休を設計しはじめた時点で、たぶん順番が違っています。
それでも、収入が細るのが怖くて育休をためらう気持ちはよく分かります。だからこそ、線引きを先に知っておくだけで、こわごわ全部やめるという選択をしなくて済みます。
結局いちばん効くのは、育休に入る前に貯めておくことでした。妻が育休を取っていたときも、家計を支えたのは給付金の額そのものより、先に用意してあった現金のほうだったので。
育休前にいちばん手をつけやすいのは、毎月自動で出ていくお金です。
※本記事の金額はすべて概算・目安です。制度の内容は2026年8月時点のもので、実際の支給可否や金額は加入している雇用保険の記録や勤務先の申請内容によって変わります。判断に迷う場合は勤務先の担当部署または管轄のハローワークへご確認ください。
出典:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)」「育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について」「育児休業中の就労について」「Q&A〜育児休業等給付〜」
執筆:papakakei.com 編集部
