家計改善

繰り上げ返済100万円で住宅ローンの利息はいくら減る?貯金が減っても純資産は変わらない理由を家計簿の表で試算|残高2,000万円・金利1%

木の家の模型と電卓・住宅ローンの繰り上げ返済を試算するイメージ

貯金から100万円を住宅ローンの繰り上げ返済に回すと、通帳の残高が一気に減ります。家計簿アプリを開くと「今月の支出100万円」と出て、資産が減ったように見えてしまう。この気持ち悪さで、繰り上げ返済をためらう人もいるのではないでしょうか。

この記事では、資産と借金を並べた「純資産」の表で、繰り上げ返済の前後に何が動いて何が動かないかを確かめます。そのうえで、残高2,000万円・金利1%のモデルで、100万円を入れると利息がいくら減るかを2つの方式と実行時期ごとに試算しました。数字は2026年10月時点の公式資料にそろえています。

🎯 この記事の結論

100万円を繰り上げ返済しても、純資産は1円も減りません。預金が100万円減るのと同時に、借金が100万円減るからです。変わるのは「これから払う利息」だけです。

  • 残高2,000万円・残り25年・金利1%に100万円を入れると、減る利息は約27万5,000円(期間短縮型・16か月短縮)
  • 毎月の返済を減らす返済額軽減型なら、月3,769円軽くなる代わりに、減る利息は約13万円に半減する
  • 同じ100万円でも10年後に入れると約15万5,000円。ただし手元の現金と住宅ローン控除を先に確かめる
📌 この記事でわかること
  • 繰り上げ返済で「資産が減った」ように見える理由と、純資産(資産−借金)の出し方
  • 100万円を繰り上げ返済した前後の、預金・ローン残高・純資産の動き(表で比較)
  • 残高2,000万円・金利0.5〜2%で、100万円の繰り上げ返済で減る利息の早見表
  • 期間短縮型と返済額軽減型で、同じ100万円がどれだけ違う結果になるか
  • 実行する前に確かめる3つのこと(手元の現金・住宅ローン控除・手数料)

正直、私は繰り上げ返済というと「貯金が減る」イメージが先に立っていて、借金のほうが同じだけ減っていることを数字で見たことがありませんでした。表にしてみると、動いていないものが見えてきます。

繰り上げ返済すると「資産が減った」ように見えるのはなぜ?純資産は1円も動かない

家計簿の多くは、入ってくるお金と出ていくお金だけを記録します。繰り上げ返済の100万円は口座から出ていくので、何も設定しなければ「支出」として並び、貯金のグラフだけが一段下がります。借金が同じだけ減ったことは、どこにも表示されません。

この見え方を直すのが純資産です。式は一つで、純資産=持っているもの(資産)−借りているもの(借金)。年収500万円台・子ども2人・預金300万円・住宅ローン残高2,000万円の家庭で、100万円を繰り上げ返済した前後を並べると次のようになります。

項目繰り上げ返済の前繰り上げ返済の後
預金(資産)300万円200万円(−100万円)
住宅ローン残高(借金)2,000万円1,900万円(−100万円)
純資産(家を数えない場合)−1,700万円−1,700万円(変わらず)
預金300万円・残高2,000万円はこの記事で置いたモデルの数字。家の評価額を入れない「現金と借金だけ」の純資産

純資産が−1,700万円と出て驚くかもしれませんが、ローンを組んで間もないうちは、家を数えなければマイナスになるのが普通です。見るのは金額そのものではなく、前と後で数字が変わらないことです。

家の評価額を入れても結論は同じです。仮に家が2,200万円で売れるとして資産に足すと、純資産は繰り上げ前も後も+500万円。預金が借金の減少に姿を変えただけで、合計は動きません。

家計簿アプリで同じ見え方にするには、繰り上げ返済を「支出」ではなく口座から借金への振替として記録し、住宅ローンの残高を負債の欄に登録しておきます。残高の欄を持っているアプリなら、繰り上げ返済の翌月も純資産のグラフは「横ばい」のままで、減っていないことが目で確かめられます。

✅ ここまでの結論

繰り上げ返済で減るのは預金の数字であって、純資産ではない。本当に変わるのは「これから払う利息の総額」と「手元に残る現金の量」の2つで、判断はこの2つを見て決める。

なお、変動金利の人は、金利が上がっても毎月の返済額がすぐには変わらない契約が多く、増えた利息は返済予定表の中で元金の減りが遅くなる形で現れます。残高がどう動いているかを自分の返済予定表で確かめる手順は、次の記事にまとめています。


家の模型と鍵と電卓・住宅ローンの利息を計算するイメージ

繰り上げ返済100万円で利息はいくら減る?残高2,000万円・金利1%で試算

👤 この記事のモデル家庭

年収500万円台・子ども2人。住宅ローンは残高2,000万円・残り25年・元利均等・変動金利 年1.0%(仮置き)で、毎月の返済は7万5,374円。このまま払い切ると利息の合計は261万2,347円です。手元の預金は300万円。

金利1.0%は計算のための仮の数字です。

参考までに、三菱UFJ銀行の「ずーっと一律優遇コース」で2026年10月に新しく借りる場合の変動金利は年1.195%で、変動金利のもとになる短期プライムレートは2026年11月2日に2.375%から2.625%へ上がると告知されています。すでに借りている人の金利は契約ごとに違うので、自分の返済予定表の金利に読み替えてください。

このモデルに今、100万円を期間短縮型(毎月の返済額はそのまま、返済期間を縮める)で入れると、結果は次のとおりです。

🧮 100万円を期間短縮型で入れると

残り期間:25年 → 23年8か月(16か月短縮)
利息の合計:261万2,347円 → 233万6,954円
→ 減る利息は 27万5,394円。入れた100万円の27.5%にあたる額を、25年かけて払わずに済む計算です(1年あたりの利回りではありません)。

減る利息の大きさは、金利でまったく変わります。同じ残高2,000万円・残り25年で、金利だけを動かした早見表がこちらです。

金利(年)減る利息短くなる期間
0.5%12万9,599円15か月
1.0%27万5,394円16か月
1.5%43万9,262円17か月
2.0%62万3,241円19か月
残高2,000万円・残り25年・元利均等・今すぐ100万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合。金利はそれぞれ完済まで一定と仮定

金利が0.5%上がるごとに、減る利息は1.4〜2.1倍に増えます。変動金利の人は、2026年11月の短期プライムレートの引き上げが自分の金利に反映されたあとで、返済予定表の新しい金利で計算し直すのが確実です。この表は金利の先行きを予想するものではありません。

また、変動金利で金利が上がったあとは、毎月の返済額をすぐには変えない「5年ルール」「125%ルール」のために、表どおりに期間が短くならない場合があります。

「100万円入れて27万円」と聞くと小さく感じますが、同じ100万円を年0.5%の普通預金に25年置いても、税引き後の利子は10万円ほどです。利息を減らす力は、思っていたより大きいと感じました。


期間短縮型と返済額軽減型はどっちが得?同じ100万円で差は約14万5,000円

繰り上げ返済には2つの方式があります。全国銀行協会の説明では、期間短縮型は「繰上げ後の返済額を変えずに残りの返済期間を短くする」方法、返済額軽減型は「繰上げ後の残りの期間を変えずに返済額を減額する」方法です。同じモデルで100万円を入れた結果を並べます。

項目期間短縮型返済額軽減型
毎月の返済額7万5,374円のまま7万1,606円(−3,769円)
残りの返済期間23年8か月(−16か月)25年のまま
減る利息の合計27万5,394円13万617円
残高2,000万円・残り25年・金利1.0%・今すぐ100万円を繰り上げ返済した場合。差は14万4,777円
✅ 方式の選び方

減る利息だけで見るなら期間短縮型。全国銀行協会も「利息の軽減効果は『返済額軽減型』よりも大きい」としています。一方で、数年後に教育費の山が来る家庭は、月3,769円の余裕を先に作る返済額軽減型にも理由があります。どちらが正解かは、家計の中で毎月の余裕と総額のどちらが足りないかで決まります。

返済額軽減型で浮く月3,769円は、年にすると4万5,228円。これを使わずに貯めておけば、次の繰り上げ返済の原資になります。「毎月を軽くして、浮いた分をまた入れる」と、2つの方式の差は時間とともに縮まっていきます。


電卓の上の家の模型と貯金箱・繰り上げ返済と手元資金のイメージ

繰り上げ返済は早いほど効く?10年後に同じ100万円を入れると約15万5,000円に

利息は残高にかかるので、残高が大きく残り期間が長いうちに入れるほど、同じ100万円で減る利息は大きくなります。モデルの家庭が10年間そのまま返済を続けると、残高は1,259万4,015円・残り15年になります。そこで100万円を入れた場合と、今入れた場合を比べます。

実行する時期減る利息(期間短縮型)
今(残高2,000万円・残り25年)27万5,394円・16か月短縮
10年後(残高1,259万4,015円・残り15年)15万4,838円・15か月短縮
金利1.0%が一定と仮定。10年後の残高は毎月7万5,374円の返済を120回続けた計算値

「早いほど効く」は事実ですが、早く入れた100万円は手元から消えるのも事実です。普通預金の金利は三菱UFJ銀行で2026年11月2日から年0.5%に上がりますが、100万円を1年置いて受け取れる利子は税引き後で約3,984円。

ローンの金利1%で1年に払う利息1万円と比べると、利息を減らす力のほうが大きい一方、預金は急な出費にすぐ使えるという、ローンにはない価値を持っています。

「今か、10年後か」の二択ではありません。生活費の数か月分と、5年以内に使う大きな出費(車・入学・家電)を先に預金に残し、それを超えた分だけを入れると、早く入れる効果と手元の安心を両方取れます。

2026年11月に、住宅ローンの基準金利と預金金利が同じ日に動きます。上がり幅はローンが0.25%・預金が0.10%で、残高別に1年でいくら差がつくかは次の記事で試算しています。

「早いほど得」と「手元に現金」は、どちらも正しいから迷うんですよね。先に残す額を決めてしまえば、残りは入れるか入れないかの判断だけになります。


繰り上げ返済の前に確かめる3つのこと|手元の現金・住宅ローン控除・手数料

純資産が変わらないと分かっても、繰り上げ返済が「いつでも正解」というわけではありません。三菱UFJ銀行の解説も「一部繰上返済に資金を充てすぎると、急な出費に対応できなくなる可能性があります」と注意しています。実行する前に、次の3つを順に確かめてください。

⚠️ 実行前のチェック3つ
  • ①手元の現金:生活費の数か月分と、5年以内に使う予定のお金は残す。繰り上げ返済したお金は、必要になってもローンから引き出すことはできない
  • ②住宅ローン控除:控除は年末残高の0.7%。残高を100万円減らすと、控除期間中は年7,000円ぶん戻る税金が減る(残高の0.7%を所得税・住民税から全額引けている人の場合。税額が足りず引き切れていない人は変わらない)。さらに期間短縮型で返済期間が借入当初から10年未満になると、その年から控除の対象外になる
  • ③手数料と最低額:銀行によって1回あたり無料から数万円まで差がある。三菱UFJ銀行の例ではインターネットは無料・店頭窓口は16,500円(2025年8月1日現在)。繰り上げ返済の最低額(10万円以上や100万円以上)を設けている銀行もある

②は数字で見ると分かりやすいです。金利1%・残高100万円ぶんに1年で払う利息は約1万円、控除で戻る税金は7,000円。控除期間中に100万円を入れて得をするのは差し引き年3,000円ほどで、控除が終わってから入れる場合(年1万円まるごと)より効果が小さくなります。

控除期間中は急ぐ理由が薄い、と覚えておくと判断しやすくなります。

そして最後に、同じ100万円を繰り上げ返済に回すか、積立に回すかという順番の話があります。これは金利が上がる局面で急いで決めることではなく、金利がいつ自分の返済に効いてくるかを知ってから考えるのが先です。優先順位の考え方は、変動金利の仕組みと合わせて次の記事にまとめています。

控除の年7,000円と利息の年1万円を並べて初めて、「控除が残っている間は急がなくていい」と腹落ちしました。数字が出ると、迷いが作業に変わります。


まとめ:減るのは預金ではなく利息。純資産の表を1枚作ってから決める

✏️ この記事のまとめ
  • 100万円を繰り上げ返済しても、純資産(資産−借金)は1円も変わらない。家計簿では「支出」でなく「借金への振替」として記録する
  • 残高2,000万円・残り25年・金利1%なら、減る利息は約27万5,000円(期間短縮型・16か月短縮)。金利2%なら約62万円
  • 返済額軽減型は月3,769円軽くなる代わりに、減る利息は約13万円。毎月の余裕が要る家庭はこちらにも理由がある
  • 同じ100万円でも10年後なら約15万5,000円。早いほど効くが、生活費の数か月分と5年以内の出費は先に残す
  • 住宅ローン控除(0.7%)が残っている間は差し引きの得が年3,000円ほどに縮む。手数料と最低額も先に確認する

繰り上げ返済は、損か得かを気分で決めると動けなくなります。預金と借金を1枚の表に並べる。それだけで「減った」の正体が見え、残るのは「いくら手元に残して、いくら入れるか」という作業だけになります。

繰り上げ返済に回す100万円を家計のどこから作るかは、食費・光熱費・通信費の見直しが出発点です。手を付ける順番は次の記事にまとめています。

📚 出典と試算の前提(2026年10月時点)

執筆:papakakei.com 編集部