家計改善

106万円の壁は10月1日に撤廃決定|パート月8.8万円の手取りはいくら変わる?施行前に確認する3つ|年収500万円台パパが試算

デニムシャツを着た眼鏡の父親が廊下で壁掛けカレンダーを指さして日付を確認している

「106万円の壁が10月になくなる」というニュースを見て、10月の給料から手取りが減るのではと心配になった方も多いと思います。

この記事では、年収500万円台・子育て中の40代パパが、9月11日に決まった施行日と、週20時間のパートで引かれる保険料を電卓で確かめます。

🎯 結論(先にお伝えします)

10月1日の撤廃で、手取りが急に変わる人はほとんどいません。本当の分かれ目は「週20時間」と「勤め先の人数」です。

  • 月8.8万円のパートが社会保険に入ると、引かれる保険料は月約1万2,500円→手元は約7万5,500円
  • 撤廃の日は、2026年9月11日公布の政令で10月1日に決定
  • 次に対象が広がるのは2027年10月(被保険者36人以上の会社)
📌 この記事でわかること
  • 106万円の壁の撤廃がいつ・何で決まったか
  • 10月1日から新しく社会保険に入る人はいるのか
  • 週20時間のパートで保険料がいくら引かれるか(時給別の早見表)
  • 保険料が最初に引かれるのは何月の給料か
  • 10月1日までに勤め先と夫の会社に確認する3つ

正直、「壁がなくなる」と聞いて、パートで働く家庭は10月から一斉に手取りが減るのだと思い込んでいました。数字を並べてみたら、話はだいぶ違いました。


106万円の壁の撤廃は決定した?9月11日の政令で10月1日に

決定しました。2026年9月11日の官報で、賃金要件(月8.8万円)の撤廃を10月1日から施行する政令が公布されています。

これまで、撤廃の日は法律に書かれていませんでした。年金制度改正法(令和7年法律第74号)が「公布から3年以内の政令で定める日」としていたためです。

その日付を決めたのが、今回の令和8年政令第275号です。条文には「令和八年十月一日とする」と書かれています。

📅 決まったこと・決まっていたこと
  • 2026年10月1日:月8.8万円の賃金要件がなくなる(9月11日の政令で決定)
  • 2027年10月1日:会社の規模の条件が「被保険者51人以上」→「36人以上」に(法律で決定済み)
  • その後も2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に規模の条件がなくなる予定

なお、日本年金機構のページでは「令和8年10月に撤廃予定」と表記されていることがありますが、日付の根拠は官報の政令です。

この撤廃で「将来の年金がいくら増えるか」「年収いくらなら損をしないか」は、別の記事で試算しています。


10月1日から社会保険に入るのは誰?線は週20時間

カフェのカウンターで働くパートタイムのイメージ

ここがいちばん誤解されやすいところです。10月1日を境に、新しく社会保険に入る人は計算上ほとんどいません。

理由は時給です。週20時間は、月に直すと約86.7時間(20時間×52週÷12か月)。月8.8万円をこの時間で割ると、時給は約1,015円です。

厚生労働省の資料によると、2026年4月以降は全都道府県で最低賃金が1,016円以上です。週20時間以上働けば、その時点で月8.8万円を超えます。

つまり週20時間以上の人は、条件を満たす会社ならすでに加入しているはずです。厚労省も、2026年4月以降は全都道府県で最低賃金が1,016円以上になったことを、10月1日に撤廃する理由に挙げています。

なお、最低賃金の減額特例で働く人のうち月8.8万円未満の人は、10月以降も当分のあいだ加入の対象外とされています。

10月以降も加入の条件として残るもの
① 週の所定労働時間が20時間以上
② 勤め先の厚生年金保険の被保険者数が51人以上(役所など国・自治体の職場は人数に関係なく対象)
③ 2か月を超えて働く見込みがある
④ 学生でない

②の人数は、パートを含めた全員の頭数ではありません。社会保険に入っているフルタイム側の人数で、法人なら全事業所の合計で数えます。

「月8.8万円を超えないようにシフトを組めば入らなくて済む」という考え方は、10月からは使えません。入るかどうかは、金額ではなく契約上の時間で決まります。

⚠️ 実際に影響が出るのは2027年10月

いま勤め先の被保険者数が36〜50人なら、週20時間以上のパートは2027年10月から加入の対象になります。

10月1日の撤廃で何も起きなくても、1年後に手取りが動く家庭があるということです。今のうちに人数を確かめておくと慌てません。

勤め先が50人以下で社会保険に入らない場合、夫の扶養に入れるかどうかはこれまでどおり年収130万円で決まります。最低賃金の上がり方と、扶養内で働ける時間の関係は、こちらで試算しています。

📊 最低賃金は2026年10月から順次1,176円へ|パート年収はいくら増える?


週20時間のパートは手取りがいくら減る?時給別の早見表

では、週20時間で社会保険に入ると、毎月いくら引かれるのか。時給別に出してみました。

本人が払う割合は、厚生年金が9.15%、健康保険が協会けんぽ全国平均の半分で4.95%、子ども・子育て支援金が0.115%です。

時給(月の給料)引かれる保険料手元に残る額
1,016円(約8.8万円)約12,500円約75,500円
1,100円(約9.5万円)約13,900円約81,400円
1,200円(約10.4万円)約14,800円約89,200円
1,300円(約11.3万円)約15,600円約97,000円
週20時間×52週÷12か月で月の給料を計算。標準報酬月額は順に88,000円・98,000円・104,000円・110,000円。40歳未満・協会けんぽ全国平均9.9%・子ども・子育て支援金0.23%(いずれも労使折半)で試算。雇用保険料・所得税・住民税は含みません

月8.8万円のケースを1年にすると、保険料は年およそ15万円です。そのぶん、将来の厚生年金や、病気で休んだときの傷病手当金がつきます。

40歳以上は介護保険料が上乗せされます(令和8年度は1.62%・本人0.81%)。月8.8万円なら月約700円増えます。

健康保険料率は都道府県で違い、令和8年度は新潟県9.21%〜佐賀県10.55%の幅があります。健康保険組合に入る会社なら率も別です。

通勤手当があると保険料が上がることがある

見落としやすいのがここです。加入するかどうかの8.8万円の判定では、通勤手当は外していました。

ところが、保険料を決める「報酬月額」には通勤手当が入ります。日本年金機構も、短時間労働者の報酬月額に通勤手当を含めると案内しています。

たとえば時給1,016円で週20時間、通勤手当が月5,000円なら、報酬月額は約9.3万円。標準報酬月額が98,000円の等級に上がり、保険料は月1,400円ほど増えます。

同じ「月いくら」でも、入るかどうかを決める金額と、保険料を決める金額で中身が違う。ここは電卓を叩くまで気づきませんでした。

手取りが減るぶんを、どの固定費で取り返すか。見直す順番はこちらにまとめています。


保険料はいつから引かれる?10月加入なら11月の給料から

加入した月と、給料から引かれ始める月は1か月ずれるのが基本です。

日本年金機構の説明では、会社はその月に払う給料から「前月分」の保険料を差し引くことができます。例として「5月の給料支払日には4月分の保険料を差し引く」とあります。

加入した月保険料が引かれる給料
10月(10月分)11月に払われる給料
11月(11月分)12月に払われる給料
前月分を当月の給料から引く基本の形。締め日や支払日の決め方は会社ごとに違います

そのため、10月の明細に保険料の行がなくても安心はできません。最初に保険料が引かれた明細で、金額が上の早見表と大きくずれていないかを確かめてください。

毎年9月(10月の給料)に保険料が見直される「定時決定」の仕組みは、こちらで詳しく書いています。

📄 社会保険料が上がって手取りが減る?定時決定のしくみ


10月1日までに何をする?勤め先と夫の会社に聞く3つ

雇用契約書を確認して記入する手元のイメージ

施行まで2週間を切りました。やることは多くありません。書類を1枚見て、2つの会社に1回ずつ聞けば終わります。

✅ 施行前にやる3つ

① 契約書で「週の所定労働時間」を見る
シフトの実績ではなく、雇用契約書や労働条件通知書に書かれた時間で判定します。20時間以上か未満かをメモします。

② 勤め先に「被保険者数」を聞く
51人以上なら今すでに対象、36〜50人なら2027年10月から対象、35人以下ならまだ先です(労使の合意で先に加入している会社もあります)。厚労省は、正確な人数を日本年金機構の事業所検索で確認するよう案内しています。

③ 夫の会社に扶養の手続きを聞く
妻が勤め先で健康保険に入ったら、夫の健康保険の扶養からは外れます。夫の会社を通じて扶養を削除する届出が必要です。家族手当が扶養を条件にしている会社もあるので、あわせて確認します。

①で20時間ぎりぎりの方は、「時間を少し減らして入らない」か「入って保険料を払う」かの判断になります。週20時間未満にすると、そのぶん時給×時間の収入も減る点は忘れないでください。

所得税の配偶者控除・配偶者特別控除は、妻の年収(所得)で決まります。社会保険に入ったかどうかでは変わりません。「社会保険に入ると配偶者控除もなくなる」と混同しないようにしましょう。

夫の会社の手続きは、妻の勤め先の手続きとは別に動きます。片方だけ済ませて安心しがちなので、「妻の勤め先と夫の会社、2社に聞く」とセットで覚えておくのがいちばん確実だと思いました。


まとめ:10月1日は「確認の日」、手取りが動くのは人数と時間しだい

この記事のまとめ
・106万円の壁(月8.8万円の条件)は2026年10月1日に撤廃が決定(9月11日公布の政令第275号)
・最低賃金が全国で1,016円以上なので、週20時間以上の人はすでに8.8万円を超えている=10月1日に新しく入る人はほとんどいない
・週20時間・月8.8万円で入ると、保険料は月約1万2,500円、手元は約7万5,500円
・保険料が引かれ始めるのは、加入した翌月の給料が基本
・次に動くのは2027年10月。勤め先の被保険者数が36〜50人の家庭は要チェック

ニュースの見出しは「壁がなくなる」でも、家計で見るべきは契約書の時間と勤め先の人数の2つだけ。今月中に確かめておけば、11月の明細を見て慌てずに済みます。

保険料で手取りが減るぶんは、毎月の固定費から少しずつ取り返すのが現実的です。

出ていくと決まっているお金は、先に金額を知っておくだけで気持ちがラクになります。腕時計のために2年貯めたときも、固定費から毎月削れる金額を先に決めて、専用の口座に分けたのが続いた理由でした。

出典:官報 令和8年9月11日(号外第203号)令和8年政令第275号/日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」/厚生労働省年金局「厚生年金保険法施行令等の一部を改正する政令案について(概要)」/厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」/日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」/日本年金機構「被扶養者に異動があったときの手続き」/協会けんぽ「令和8年度の保険料率」

※2026年9月17日時点の公表資料にもとづく一般的な試算です。実際の保険料は勤め先の健康保険・標準報酬月額で変わります。個別の働き方の判断を推奨するものではありません。

執筆:papakakei.com 編集部